「生死の語り行い1」

【読んだきっかけ】
新自由主義が日本社会にも浸透しているように感じられる中、「尊厳死」という言葉が危うい意味を持って語られつつあるのではないかと思います。
何度か立ち消えた尊厳死法案をめぐる賛否意見や、安楽死正当化論に見られる論拠、参考文献などがまとまった本書に興味を持ちました。

「生死の語り行い1」
立岩 真也、有馬 斉。生活書院。2012


第1章 短文・他
著者(立岩)が、新聞や雑誌などに寄稿した尊厳死に関する短文をまとめたもの。
・2012年に出されかけた終末期医療における患者の意思尊重に関する法案について、「終末期」の定義のあやうさをはじめとした様々な疑問点(回復の可能性がない状態という定義について、死期が間近という短い時間をどう捉えるかについて、延命措置を止めることによる良いことがわからない、など)が残る

第2章 引用集―法案・意見
過去3回検討された法案(1978「末期医療の特別措置法案」、2003「尊厳死に関する法律案要綱」、2012「終末期の医療における患者の意思の尊重に関する法律案」-これは国会に未提出)と、それぞれに対する賛否意見をまとめる。

2012年の法案への反対意見として、全国精神病者集団・ALSや脳性マヒなどの患者団体・日本弁護士協会・日本自立生活センター有志会などによる反対意見、またそれらの反対意見に対する日本尊厳死協会の意見を載せる。

第3章 功利主義による安楽死正当化論
英語圏での安楽死に関する論争を、功利主義者による安楽死擁護論を中心に紹介する。

第4章 「ブックガイド・医療と社会」より

【感想】
日本の事例においては、2章の法案に対する賛否意見が参考になると思います。

死期が間近・治る見込みがないということを誰が決めるのか。
本人が延命を望まないということを本人が決められるのか。
そもそも、障害などがあることがよいことではない、というような意識があるのではないか。

こういった思いが切実に訴えられている反対意見は、非常に大切な意見だと感じました。

また、日本尊厳死協会(前身の日本安楽死協会)の創始者である太田典礼氏が、もともと優生保護法を成立させるために活動した人ということも忘れてはならない歴史だと強く思いました。

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