「直下型地震」-予測できない地震
【読んだきっかけ】
「首都圏直下型地震の可能性が今後x年間でxx%」といったニュースを最近良く聞きます。
”直下型地震”は、最近よく聞きますが、具体的にどういったものか曖昧でしたので、性質などを知るために読んでみました。
「直下型地震-どう備えるか」
島村 英紀 (著) 。花伝社。2012
【内容】
第1章 東北巨大地震とはどんな地震だったのだろう
・日本を襲う地震は、「海溝型」と「内陸直下型」の2つのタイプがある。
・2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は海溝型であり、1995年1月17日の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)は内陸直下型であった。
・海溝型は起きるメカニズムなどがかなり分かっている。一方、内陸直下型はメカニズムが多様で日本のどこで起こってもおかしくなく、さらに地震の規模が大きくなくても大震災となる場合がある
・東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の時、気象庁は気象庁マグニチュード(8.4程度で頭打ち)でなく、モーメント・マグニチュード(頭打ちがない)で発表している。しかし、この地震だけ基準を変えており(その後の地震は気象庁マグニチュード)、情報操作のためのようにも思われる(原発などの耐震性を考える時、気象庁マグニチュードでの設計で想定されているため、モーメント・マグニチュードでは「想定外」の巨大地震となる)。
・東北地方太平洋沖地震の被害者の9割は津波によるものである。津波の被害が拡大した原因として、警報が適切でなかった(想定が小さい・わかりにくい、第一波が弱かったため観測値の発表で安心してしまった、など)可能性がある
・津波だけでなく、ダム決壊でによる被害者がいたことも注意すべきである(福島県の農業用水ダム:藤沼ダム決壊で7人が死亡し1人が行方不明)。海外では2000人以上の犠牲者が出たダム決壊の例もあり、直下型地震が起きた場合の被害の1つとして検討しておくべきである。
第2章 直下型地震の怖さとは
・内陸直下型地震は、どこで発生するかがわからない。繰り返しがなく、都会など地震に弱いところで発生する可能性もある。
第3章 首都圏を襲う直下型地震
・首都圏は4つのプレートが集まり衝突する、地震が発生しやすい場所
・関東地震(関東大震災)はマグニチュード7.9の海溝型地震であったが、直下型地震と同じような性質をもつものであった。地震の規模に比べ被害が甚大だったのは、人口密集地を襲った地震だったためである。
・直下型地震としては、安政江戸地震(1855)など、江戸開幕以来だけでも30回近く発生している。
・首都圏は、埋め立てなどの関係で地盤が弱いところが多く、地震の揺れを増幅している。また、帰宅困難者の発生という問題もある
・関東大震災以降、東京を襲う大地震が激減しているが、この静けさがいつまでも続くことはありえない
第4章 日本で起きた内陸直下型地震
・1948年の福井地震、1995年の阪神・淡路大震災など内陸直下型地震は日本の様々な場所で発生している
・2008年の岩手・宮城内陸地震では、4022ガルという史上最高の加速度が記録されている。かっては980ガルを超える地震はないと思われていたが、実際には様々な地震で1000ガル以上が観測されている。原発が設計・建造された頃にはこれらの事実がわかっておらず、耐震基準の最大が600ガルである。
・余震については正確に予測することは不可能である。
第5章 直下型地震の被害が増えている
・人口増により、地盤が弱いところや埋立地に人が多く住むようになり、被害が大きくなりやすい。また、液状化も発生しやすい場所も多い。
・高層ビルなどは、「長周期表面波」による被害が予想される。この被害は震源よりもかなり遠いところで発生しうるものであるが、日本に高層ビルが建つようになってからの歴史は浅く、被害予想が難しい
第6章 地震予知はお手上げ
・地震予知はできない、特に内陸直下型地震については、予知の根拠も体制も全くないし、緊急地震速報も役にたたない。
第7章 活断層はどのくらい警戒すべきだろうか
・活断層がなくても直下型地震は起きる可能性がある。
第8章 震災を押さえ込むのは人類の知恵
・地震は自然現象だが、震災は社会現象である。自分の身は自分で守る、そのために近所での防災体制なども育てていくといったことで対応するしかない。
【感想】
内陸直下型地震の特徴(予測がほとんどできない、どこに発生するわからない、首都圏で起きた場合その被害は甚大になることが予想される)についてはよく理解できました。
そして、その特徴ゆえに、対策といっても、地震が起きてからのことを考えた生活を行うこと(自分の家だけでなく、近所づきあいを含め)しかないということもやむをえないことだと思います。
ここ数十年、首都圏で大きな直下型地震があまり発生しなかったという状態が、実は異常に静かな状態であることを意識し、今普段の生活の中に普通に備えがある状態が重要だと感じました。
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「首都圏直下型地震の可能性が今後x年間でxx%」といったニュースを最近良く聞きます。
”直下型地震”は、最近よく聞きますが、具体的にどういったものか曖昧でしたので、性質などを知るために読んでみました。
「直下型地震-どう備えるか」
島村 英紀 (著) 。花伝社。2012
【内容】
第1章 東北巨大地震とはどんな地震だったのだろう
・日本を襲う地震は、「海溝型」と「内陸直下型」の2つのタイプがある。
・2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は海溝型であり、1995年1月17日の兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)は内陸直下型であった。
・海溝型は起きるメカニズムなどがかなり分かっている。一方、内陸直下型はメカニズムが多様で日本のどこで起こってもおかしくなく、さらに地震の規模が大きくなくても大震災となる場合がある
・東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)の時、気象庁は気象庁マグニチュード(8.4程度で頭打ち)でなく、モーメント・マグニチュード(頭打ちがない)で発表している。しかし、この地震だけ基準を変えており(その後の地震は気象庁マグニチュード)、情報操作のためのようにも思われる(原発などの耐震性を考える時、気象庁マグニチュードでの設計で想定されているため、モーメント・マグニチュードでは「想定外」の巨大地震となる)。
・東北地方太平洋沖地震の被害者の9割は津波によるものである。津波の被害が拡大した原因として、警報が適切でなかった(想定が小さい・わかりにくい、第一波が弱かったため観測値の発表で安心してしまった、など)可能性がある
・津波だけでなく、ダム決壊でによる被害者がいたことも注意すべきである(福島県の農業用水ダム:藤沼ダム決壊で7人が死亡し1人が行方不明)。海外では2000人以上の犠牲者が出たダム決壊の例もあり、直下型地震が起きた場合の被害の1つとして検討しておくべきである。
第2章 直下型地震の怖さとは
・内陸直下型地震は、どこで発生するかがわからない。繰り返しがなく、都会など地震に弱いところで発生する可能性もある。
第3章 首都圏を襲う直下型地震
・首都圏は4つのプレートが集まり衝突する、地震が発生しやすい場所
・関東地震(関東大震災)はマグニチュード7.9の海溝型地震であったが、直下型地震と同じような性質をもつものであった。地震の規模に比べ被害が甚大だったのは、人口密集地を襲った地震だったためである。
・直下型地震としては、安政江戸地震(1855)など、江戸開幕以来だけでも30回近く発生している。
・首都圏は、埋め立てなどの関係で地盤が弱いところが多く、地震の揺れを増幅している。また、帰宅困難者の発生という問題もある
・関東大震災以降、東京を襲う大地震が激減しているが、この静けさがいつまでも続くことはありえない
第4章 日本で起きた内陸直下型地震
・1948年の福井地震、1995年の阪神・淡路大震災など内陸直下型地震は日本の様々な場所で発生している
・2008年の岩手・宮城内陸地震では、4022ガルという史上最高の加速度が記録されている。かっては980ガルを超える地震はないと思われていたが、実際には様々な地震で1000ガル以上が観測されている。原発が設計・建造された頃にはこれらの事実がわかっておらず、耐震基準の最大が600ガルである。
・余震については正確に予測することは不可能である。
第5章 直下型地震の被害が増えている
・人口増により、地盤が弱いところや埋立地に人が多く住むようになり、被害が大きくなりやすい。また、液状化も発生しやすい場所も多い。
・高層ビルなどは、「長周期表面波」による被害が予想される。この被害は震源よりもかなり遠いところで発生しうるものであるが、日本に高層ビルが建つようになってからの歴史は浅く、被害予想が難しい
第6章 地震予知はお手上げ
・地震予知はできない、特に内陸直下型地震については、予知の根拠も体制も全くないし、緊急地震速報も役にたたない。
第7章 活断層はどのくらい警戒すべきだろうか
・活断層がなくても直下型地震は起きる可能性がある。
第8章 震災を押さえ込むのは人類の知恵
・地震は自然現象だが、震災は社会現象である。自分の身は自分で守る、そのために近所での防災体制なども育てていくといったことで対応するしかない。
【感想】
内陸直下型地震の特徴(予測がほとんどできない、どこに発生するわからない、首都圏で起きた場合その被害は甚大になることが予想される)についてはよく理解できました。
そして、その特徴ゆえに、対策といっても、地震が起きてからのことを考えた生活を行うこと(自分の家だけでなく、近所づきあいを含め)しかないということもやむをえないことだと思います。
ここ数十年、首都圏で大きな直下型地震があまり発生しなかったという状態が、実は異常に静かな状態であることを意識し、今普段の生活の中に普通に備えがある状態が重要だと感じました。
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