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『古人骨を測る』(京都大学学術出版会)

研究論文の書籍化は、自分が知らない世界を味わえる面白い本。。

日下宗一郎 『古人骨を測る 同位体人類学序説』 京都大学学術出版会。2018

人骨を研究の対象とする学問の本。
人骨といっても、考古学の遺跡から見つかる古い人の骨(古人骨)であり、骨屋と呼ばれる研究者は珍しい。

数少ない骨屋である著者の提唱する「同位体人類学」は、貴重な古人骨から取り出すほんの一部の資料の元素の割合を測り、そこから彼らの生活をあぶりだそうとする。

古人骨そのものと、彼らが食べていたであろうものの炭素・窒素同位体比から見えてくるものは、

・縄文人が海産資源と陸上資源の両方を摂取していたが、地域だけでなく個人(性別、階層など)で大きく摂取割合が異なる。この、個人での食生活の違いが縄文人の特徴の一つと考えられる

・性差などで食生活が異なるということは、食物の分配形式の違いや性差による生業の違いがあったと考えられる。ただ、この性差による違いの大きさは地域によって異なることから、性差だけでなく家族間での生業の違いがあったということも考えられる

また、著者が縄文人時代の人の移動を検出するために取り組んだストロンチウム同位体分析からは、

・地域が閉じた世界ではなく、移入者を受け入れていた。また、その受け入れ方も個人を受け入れるだけでなく、個人に関わる集団の受け入れもあったと考えられる

さらに、縄文時代の特徴でもある抜歯の系列と食性の関係なども同位体分析により考察し、食性の違いよりも血縁関係のシンボルとして抜歯が行われていたことが示唆されるとする。
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テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

tag : 古人骨を測る

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