『大ヒットアニメで語る心理学』(新曜社)

日本でヒットするアニメに共通する特質は何かを、それらのアニメが示す「感情の谷」と回心から書く。
心理学主体ではなく、アニメを主体としてそこに書かれるストーリーから現代の心理を読み解こうとする本。

横田正夫『大ヒットアニメで語る心理学 「感情の谷」から解き明かす日本アニメの特質』。新曜社。2017。

日本でヒットするアニメには、「回心」「感情の谷」という特質がある。
著者は、下記のアニメを主人公の感情の変化をグラフ化しながら、そこに見られる感情の谷と回心が、日本人の好みにあい、日本でのヒットにつながることを、有名なアニメ作品を元に読み解いていく。

「太陽の王子ホルスの大冒険」では、ホルスの臨死的な体験からの回復と、その適役であるヒルダの回心(長期にわたる第三者との触れあい)が読み解かれる。

著者は「感情の谷」「回心」をより深く見ていくため、
「ブレイブ ストーリー」での主人公2人の感情の谷からの回心/虚無の対比
「バケモノの子」の九太と一郎彦の感情の復活/喪失の対比
「千と千尋の神隠し」の千尋の感情の谷への落ち込みと一気の回復
などを分析していく。
「感情の谷」理論は、強い感情体験による感情の谷への落ち込みとそれに続く意識の変容、その経過後に現実に戻ったときの新たな自分の発見につながるが、これは臨死体験・回心のモデルや精神病の発達過程のモデルにも見られることでもある。

さらに、アニメが語る心理として、動きの軽快/鈍重の重要性を「進撃の巨人」で見た上で、感情の谷と動きの2つから、「君の名は。」と「この世界の片隅に」を見ていく。

こういった「感情の谷」理論が、日本で作られた映画だけに特徴的ではなく、海外作品にもあることを「アナと雪の女王」の構造とその日本でのヒットで見た後に、日本ではヒットしなかった「レッドタートル ある島の物語り」には感情の谷がないことを示す。
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