『熟議民主主義の困難』(ナカニシヤ出版)

10年ほど前から少しずつ広まっている「熟議民主主義」という言葉。
2012年に民主党政権下に一度実践的に利用されたものの、関心の高まりに比して実際に政治の場で使われることはほとんどない。
では、何がその広まりを阻害しているのか。
本書では、『熟議民主主義の困難』をもたらしているであろう阻害要因を分類し、なぜ阻害要因となっているのかを政治理論を中心に考察する。

田村哲樹 『熟議民主主義の困難 その乗り越え方の政治理論的考察』。ナカニシヤ出版。2017

著者が熟議民主主義の阻害要因として分類したものは以下の3種類。
1.分断社会
2.個人社会化
3.労働中心社会

これらの問題に対し、

1.民族や文化などといった争点を、フレーミングして捉えなおすことで熟議の対象とすることが可能
2.反省性/包括性が個人化に対し鍵となり、熟議民主主義は反省性の確保に優れ、包括性については多層的な熟議により対応できる
3.熟議への関わりを狭める労働中心社会に対して、ベーシック・インカムの確保による熟議のための時間の確保で対応

という熟議民主主義の可能性を述べる。

次に、熟議意外のやり方に対して、
1.情念
2.アーキテクチャ(制度)
から考察する。

ここにおいては、反省性の実現という問いによる情念の熟議への貢献、熟議に人々を導くためのナッジということで、それぞれのやり方が熟議と相反するものではないことを示す。

最後に、熟議民主主義に期待する人々の問題として、そこにある思考枠組の問題を提起する。
1.親密さに熟議はなじまない
2.ミニ・パブリックスこそが熟議
3.自由民主主義の枠内にある熟議

こういった問題に対して、それぞれの枠組みをみつめなおし、それぞれと熟議の関係の逆転を考える。
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