『IT技術者の能力限界の研究』(日本評論社)

日本のIT技術者において(年齢による)能力限界がどう意識されているか/されていないかの学術研究。

吉田克利『IT技術者の能力限界の研究 ケイパビリティ・ビリーフの観点から』。日本評論社。2017

かって(?)流行った「IT技術者35歳定年説」や、日本に特有的なIT技術者は40歳前後で能力限界が訪れるという意識。
本書は、IT技術者の高齢化が進む中で、こういった説がIT産業の競争力を低下させる恐れもあると考え、

・IT技術者の年齢が、本人の能力限界感に影響を及ぼすのか
・上司のサポートや職場環境が、本人の能力限界感に影響を与えるのか
・IT産業構造の特色(下請け構造など)が、本人の能力限界感に影響を与えるのか

を、能力発揮に対する限界感/効力感の2側面から、約4500名のインターネット調査データを分析する研究である。

本書ではいくつかの仮説を立てて、データより検証していくが、主な結果として以下が挙げられている。

・年齢による能力限界感は加齢と共に高まる、一方で効力感は40-50歳でいったん停滞するがその後上昇し続ける。
 中高年技術者への周囲の仕事の与え方・期待と、中高年技術者の発揮できる能力にギャップがあるのではないか。

・上司サポートや職場環境は、限界感を抑制し、効力感を促進する要因が見られる。
 労働者の動機付け要因として、上司サポートと革新的職場風土などが技術者の人材マネジメント施策に役立つであろう。

・産業構造による限界感は、下請け企業の技術者において、自律性の少なさや多忙感により高く見られた。
 専門的能力(上流工程の仕事)が可能かどうかによるものと考えられる。

<感想>
私自身も中高年IT技術者であり、以前いた職場や今の職場で、中高年技術者が、求められる仕事のギャップにより効力感が低くなるという指摘には、確かにと思うところがあった。
特に一般企業では、IT部門の技術者であっても、総合職に対しゼネラル人材を志向してきたところから、専門職としての能力の発揮をしても評価されない、という部分が大きい気がする。
こういった研究が、いずれ社会や企業の教育・人材評価につながると、中高年技術者(だけでなくIT技術者、あるいはもう少し幅広く専門技能を持った研究者など)の能力が、もっと発揮されると思う。。。が、企業の人事部門とか、こういう本は読まないだろうなぁ
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