『自死は、向き合える』(岩波ブックレット)

タイトルを見て、多少なりとも何か思う人には読んでみていただきたい。
友人を自死で亡くしたルポライターである著者が、それをきっかけに連載した記事をまとめなおした本。

杉山春 『自死は、向き合える 遺族を支える、社会で防ぐ』。岩波ブックレット。2017


「自死とは、人とのつながりを失い、社会という居場所から、死という形でこぼれ落ちてしまう現象だ」(p.4)

著者は、自死により遺族や関係者が向き合う事象や、自死への社会の冷たい見方を、4つの場面から見ていく。

第一章 
自死遺族が、家族の自死という衝撃・疲弊の最中に直面する出来事。
それが、自死遺族が住んでいた借家の家主からの高額の家賃補償請求。
そこには、自死物件への心理的瑕疵を認め、その責任を自死した賃借人の善管注意義務違反とする判例がある。

しかし、その見方は正しいのだろうか。自死は「自らの意思」によるものだろうか。
高額補償の正当性が疑われ、家賃補償問題が取り上げられる中に、著者は社会の自死へのタブー視を視る。

第二章
自死遺族は、支援者からも蔑まれ、自らは自責感に苦しめられ、後追いまで追い込まれることもある。
自死遺族でもある田中幸子さんによって立ち上げられた「藍の会」は、自死遺族同士による自助・支援グループである。
なぜ、彼らは遺族同士でしか支援できないのか。
そこには、自死遺族への社会的な差別がある。

第三章
自死は忌避すべきものではなく、なぜ追い詰められたのかどうすれば予防できるのかをきちんと考えるべきものである。
死因の10位以内に入る自死に対し、心理学的剖検を進めていくと、直前まで生死を迷う人たちの姿が見えてくる。

第四章
地域における自死未遂者の支援や、その家族への支援がどのようになっているか。
地域の医療従事者や公的機関の人々の取り組みを、西尾市を例にみる。
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