『誰が音楽をタダにした?』(早川書房)

日本では楽曲使用をめぐってのニュースが最近多いですが。。。
それはさておき、インターネットを通じてどうして音楽をタダで手に入れられるようになったのかが、まるで小説のようにワクワクして読めるノンフィクションが本書。
3つの集団とそして彼らをつなぐmp3が音楽業界を変えた。

スティーヴン・ウィット (著)、関 美和 (訳)『誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ潰した男たち』。早川書房。 2016。

邦題よりも、原題の「HOW MUSIC GOT FREE」の方が内容をよく表しているかもしれない。
「誰が」も重要であるが、本書の登場人物たちをつなぐ1つの重要な技術が本当の主人公であり、HOWの部分の重要な要素かもしれない。
それが音声などの音響データの圧縮技術「mp3」。

本書で登場する集団の1つは、mp3の生みの親であるカールハイツ・ブランデンブルクと彼を支える技術者の集団。
音響心理学者ツビッカー、ザイツァーに連なる系譜として音響に関しての研究を行ってきたブランデンブルクは、人間の耳の不完全さを利用した音響データの圧縮技術を考案する。
彼の技術を実用化するためには、素晴らしい耳(音に対しての聞き分け力)をもつプログラマー、グリルや開発を資金的に支える会社のライセンス責任者リンデらの協力が必要だった。
しかし、mp3は技術力ではなく政治力により、音響データの圧縮技術として公的な採用からは無視され続けたり隅に追いやられていた。

そんなmp3の高い圧縮能力に目をつけ、積極的に使っていったのがもう1つの集団、世界中に存在し、しかし、どこにいるかはわからない音楽の海賊版を作る集団であった。
彼らは本名でのやり取りは行わず、また直接会うこともほとんどない。
そんな中で、本書では主に音源を手に入れために活躍(といって言いのだろうか?)した1人の音楽会社のCD工場の労働者、デル・グローバーを中心に、その実態を書く。
誰かが音源を手に入れ、誰かがそれをコピー・公開し、誰かがそれを聴く。
それを支えたのがmp3の高い圧縮能力と品質であった。

一方、音楽業界は不法コピーによる業績不振を深刻に捉え、不法コピーを撲滅しようとし、また自らのビジネスモデルを変えていった。本書が取り上げるのはテクノロジーのことは知らないと公言するダグ・モリス。
新しいビジネスモデルでは、やはりmp3など音楽の圧縮技術が必須となった。

1990年代から2000年代にかけて、音楽がタダで共用されていく過程を興味深く読むことができる一冊。
訳者あとがきによれば映画化も決まっているらしく気になるところ。

mp3の特許権が2017年春に消失した(https://www.iis.fraunhofer.de/en/ff/amm/prod/audiocodec/audiocodecs/mp3.html)が、これが
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