『エッダとサガ』(新潮選書)

アイスランドに残る、ゲルマン神話の根本資料、それがエッダ。
アイスランドに残る、初期中世ヨーロッパの文学と生活が残る散文芸術、それがサガ。
本書では、エッダとサガの代表作や中心となる話などが紹介され、エッダとサガの魅力に触れることができる。

谷口幸男『エッダとサガ 北欧古典への案内』。新潮社。2017


エッダは『古エッダ』(歌謡エッダ、セームンドのエッダ)と呼ばれる作品と、『新エッダ』(散文エッダ、スノッリのエッダ)の2作品がある。
英雄伝説、神話、箴言からなる9~13世紀頃に成立した作品で、ゲルマン民族の神話の宝庫でもある。

本書では、まずエッダの神話について、ゲルマン神話との簡単な比較(神々の重要性や性格の違い、異教的要素の混入など)が行われた後に次の特質が示される。

・天地創造について、より北欧・アイスランドの自然(火と氷の対立)と、オーディンらによる巨人族の祖ユミルへの殺害から始まるという特色
・神族と巨人族の対立が対等であり、また神族に対する巨人族の優位性が随所で示される
・ラグナレクル(世界の週末)においては神族・巨人族が共に滅びる(神々も滅ぶ)

そして、エッダに書かれた神話が、その始まり(火と氷の対立から巨人ユミルが産まれ、巨人ユミルがオーディンらにより殺害されることで大地が生まれる)から終わり(巨人族とロキに対し、神族は全力で応じ、そして死闘の末、主要な登場人物たちがことごとく相討ちし、死んでいく)、そして、新しい世界の誕生(一部生き残った神・人間による世界の始まり)まで、要領よく、しかし面白さや美しさを失うことなく書かれる。
神話のなかでの神々の人間的な様子や、巨人に適わないような様子が書かれているのが面白い。

さらに、エッダに書かれる英雄伝説が、一部神話と混じりながら紹介される。

サガでは、アイスランドの12-13世紀の定住・ヴァイキング生活・アイスランド内での争いなどの歴史的な出来事が散文として書かれる。
内容により「宗教的学問的サガ」「王のサガ」「アイスランド人のサガ」「伝説的サガ」に分類され、アイスランドの自国語で他文化の影響を受けずにリアリスチックに事実が書かれるというスタイルが特色である。
ここには、アイスランドが北欧からの束縛を嫌った人々の植民により作られた歴史的な背景も影響していると考えられる。

本書ではそれぞれのサガについて、分類ごとの特色を示しつつ代表的な話が紹介される。
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