『憲法という希望』(講談社現代新書)

政治的・社会的な閉塞感に対し、著者は学問、とりわけ法学そして憲法の持つ力を伝えようと本書を書いた。

「憲法は、国家の失敗を防ぐための法律」

はじめに、で書かれたこの言葉が読み終わった後に重みを増す。

木村草太『憲法という希望』。講談社現代新書。2016

第1章では日本国憲法に何が書かれているかを概観し、第2章では人権についてを家族(婚外子の相続、夫婦別姓)に関する判例などから読み解き、第3章では地方自治についてを基地問題から問う。第4章は、クローズアップ現代で長くキャスターとして活躍した国谷裕子氏との憲法についての対談。

第一章 日本国憲法と立憲主義
・国家の三大失敗は、「無謀な戦争」「人権侵害」「権力の独裁」であり、これが古代から現代に渡る歴史である
・憲法は国家の失敗を防ぐために、「軍事統制」「人権保障」「権力分立」を柱に主権国家の濫用を防ぐために作られている。これが近代的立憲主義の基本的な考え
・憲法の最高法規たる所以は99条ではなく97条の基本的な人権を保障する法ということにある
・第1章は天皇について書かれているが、その実質的な内容は天皇の政治的影響力を国民全体で管理する、国民主権の原理である
・憲法9条には例外規定がない。このために武力行使禁止が9条から求められると考える
・憲法では、自由権、平等権、生存権が13条(さらに他で個別の自由も書かれる)、14条、25条に書かれている
・権力の分立は、立法と行政、司法の三権分立だけではなく、地方自治にも表れている

・憲法を使いこなすには、政府の活動が何かおかしいのではないか?個人の権利が侵害されているのではないか?といった勘を働かせる能力を、個人が自分らしく生きようとするときに感じた息苦しさから培い育てることが重要となる

第二章 人権条項を活かす
・人権を考えるとき、イデオロギーなどにとらわれず、冷静に生きづらさの原因を、判例の示す判断枠組みから分析することが重要。自分のどういう権利が制約され、誰と誰の間に区別があり、それが合理的なものかを見る
・人権条項を使いこなし、裁判に勝つためにも、感情ではなく法理論として形をつくることが必要であり大切である

第三章 「地方自治」は誰のものか
・辺野古基地建設に関する現政府の怖さは、法的な根拠がないのにもかかわらず(出せないにもかかわらず)政府の思いだけで進めていること。そこには民主主義や法の支配という基本原理がない
・今の国の主張は「安全保障のために必要と国が考えれば、法律なしにあらゆる自治権を制限できる」ということである。これは地方自治を有名無実化するものであり、さらには「安全保障に関することは全て内閣が勝手に決めてよいのだ」ということでもある

第四章 対談 「憲法を使いこなす」には
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