『大東流合気柔術を解く』(日貿出版社)

岡本正剛氏に30年以上に渡り大東流合気柔術の教えを受けた著者が、岡本氏との思い出や技の変遷について、そして著者が研究した大東流合気柔術の技法についてを書く。特に後半は、力学・生理学など様々な視点から考察されており興味深い。

浅原勝 『大東流合気柔術を解く  武術の極み、合気を求めて』日貿出版社。2017

第1編は岡本正剛氏の足跡を追う。
・岡本正剛氏の大東流合気柔術との出会いは1963年。近所付き合いから近くの道場へ行き、そこで堀川幸道氏より習う
・岡本氏が稽古に来た人すべてに技をかけるというのは、堀川氏の稽古では入門者は通常最初の2,3年は直接稽古をつけてもらえなかったため、そういった思いを稽古に来た人にさせたくないと考えたためと思われる
・岡本氏は日常性かつからたゆまぬ好奇心と、器用さを兼ね備えた生活を送っており、大東流にもそれが表れたと著者は考える

・六方会創設期は堅い床面の稽古場所が多く、それが衝撃を和らげる受け身(掌をすぼめる、足裏で床に接触など)につながった。また、外し手の稽古や基本技の稽古が多く行われた。技としては相手をあまり大きく投げず浮かせ引き寄せてその場で叩きつけるような種類であった(実戦を想定)。また、相手が反撃しないような固め技もよく行われた
・相手を大きく投げ飛ばすような稽古になったのは、柔らかい畳での稽古になってから

・岡本氏の技は、年齢とともに小さく丸く柔らかくなり、かつ手順がよりシンプルになった。指の開きもだんだんと小さくなった。
・岡本氏は、円運動・反射・呼吸で技の基本原理を説明した。

第2編は著者による研究の紹介
・力学的考察
 合気上げ-上方向への重心の移動、支持基底面積の減少、重心の前方向への移動
 合気下げ-重心の前方向への移動、支持基底面積の減少、重心線の著しい偏り、脊柱の前彎の強調

 こういった項目を、体の姿勢や支持基底面との関係などから力学的に意味づけをし、いかに相手が投げられやすい(不安定)状態にもっていくかを解析する。

 また、力をいかに効率的に使うかについて、自分の近くで技をかけることで大きな力が出せるということを、スパナの柄の長さに例えながら解説する(自分の腕を短いスパナにするため、相手のほうに自分から寄るなど)、
 相手を回転させやすくするためには、相手の腕を短く相手の中心に近い状態にすることを示す。

・解剖学的考察
 どうすれば相手に逃げられずに、こちらの攻めの力を相手に伝えられるかを解剖学的・運動学的な視点から考察する。

 相手の腕-回内(手のひらが下)は自由度が高く逃げられやすい。このため、回外にすることで肘が伸張しやすくなる
 相手の肩-肩関節と鎖骨の連動を制限させるため肩関節を固定する方向へ攻める。同時に手-肘-肩をロックすることが重要
 相手の頚椎-首を傾ける方向と首を回す方向が同じだと体幹が首の傾く方向へねじりやすくなる(右に傾けば右に回しやすい)
 自分の膝関節-適度に屈曲させることで自分の股関節・足関節の回転が大きくスムーズになる(伸ばしすぎは動きが悪い、曲げすぎはへっぴり腰)

・生理学的考察-相手の防衛反射がでるのは0.3秒後
 相手の逃避反射の利用-侵害刺激に対する生態防御反応を利用する。ポイントは強すぎない刺激
 相手の姿勢反射の利用-相手が平衡を保とうとする反射、頸部の屈曲等で体に起こる頸反射(例えば、首が後屈すると前肢は伸張、後肢は屈曲など)を利用する。水を払うように指を開く
 自分の呼吸の利用-著者はお腹をへこませる腹式呼吸により上向きに力を及ぼすピストン効果の利用などに触れる

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