『非線形科学  同期する世界』 (集英社新書)

自然の隅々まで満たす、様々なリズム。
そんなリズムが出会うと、互いに相手に合わせ歩調を合わせてリズムを刻み始める。それが「同期現象」(シンクロ現象)。
本書は、同期現象を示す基礎的な数式を編み出した著者による、同期現象の世界への第一歩(数式なし)

蔵本 由紀『非線形科学  同期する世界』 。集英社新書。2014。


2つの隣同士の振り子時計が、共感したかのようにリズムを合わせる現象を記述した17世紀の科学者、ホイヘンス。
彼が見いだしたその現象は、本書で詳細が述べられる「同期現象」であった。
しかし、同期現象は、その性質が非線形であることから、モデル化することが難しく、現象としては同じようなものが知られていても、そこから先の研究は進まなかった。

1章では、同期現象に必要な言葉(振動子、位相、位相差(位相差がないのが同相同期、位相差が180度なら逆相同期))がまず説明される。
その後、身辺に見られうる同期現象として、振り子時計の例とその応用であるメトロノームの例、オルガンのパイプの音、アマガエルの鳴き方と3匹以上になった場合のフラストレーション発生と妥協、体内時計などが示される。

2章では、集団に表れる同期として、橋を渡る集団による橋の揺れ現象、拍手がそろう/乱れる現象、ホタルの集団発光などの現象がまず示される。
その後、集団同期の説明として、個と場の相互フィードバックがどのように発生するかを、作用力/移転力という考えの誕生と、そこに標準的なモデルを設定した著者のモデルについての説明が書かれる。
こういった集団同期の考えは、生物だけでなく電力供給という社会的な事象にも適用可能である。

3章では、個体(内)にあらわれる同期として、心拍リズムの生成、体内時計について書かれる。
これらの振動がどのように生まれるかについて、解糖反応による振動がある。
本章では、さらに集団リズムが消失する原因が書かれるのが興味深い。1つは振動子が振動子としての機能を失う場合(動的クオラムセンシング)、もう1つは振動子がランダムな位相にばらつくようになったため(脱同期)、の2つが考えられる。
体内時計の停止についてはわずか2つの条件(特定の振動のステージに、特定の強度で)を持つ刺激により、脱同期が発生し、それにより体内時計が停止するという度物実験の結果が紹介される。
この同期の消失は、医療研究に適用できる可能性がある(糖尿病、パーキンソン病)。

4章では、システム制御における集中管理的な制御と、自律分散制御についてまず触れられ、同期システムとの関係が考察される。
自律分散制御による生物の動き(その動きを作り出す部分が同期システムと関係)として、ヤツメウナギの泳ぎやミミズの蠕動運動、粘菌の移動などが示され、こういった自律分散制御が工学的に応用できないかという研究(ロボット、交通信号制御)が紹介される。
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