『歌うカタツムリ』(岩波書店)

「歴史とカタツムリはよく似ている。どちらも繰り返す。そして螺旋を描く」(p.3)
最初に出てきたこの文章に、そこまで?と少し思って読み始めたが。。。。
読み終わった時には、この文章に戻り納得というか。。。平伏。
少なくとも生物の進化の歴史において、カタツムリは歴史をまさに体現する生物であった。

千葉聡 『歌うカタツムリ 進化とらせんの物語』。岩波科学ライブラリー。2017

生物の進化という非常に大きな普遍的な物語は、カタツムリという局所的な生物をモデルに語ることができる。
そんな局所と普遍の関係を示そうという試みが本書であり、そして読み終わった後にその狙いをあとがきで知って納得する本。

進化を説明するための様々な学説は、時に激しい論争を巻き起こしてきた。

ダーウィンの「自然選択説」(方向性のない性質のばらつきとそれにかかる自然選択)を唯一とするウォレスの「適応主義」が、ギュリックの地理的隔離が進化に大きく働くという説を攻撃する。

クランプトンの自然選択の中立性の結論は、ライトによる「遺伝的浮動」(自然選択よりも遺伝的な効果が進化において重要である)は、自然選択を絶対視するフィッシャーにより攻撃される。その闘いは様々な調査結果からどちらが有利かが二転三転し、捕食者による自然選択が働いているという結論で終わったかのように一時は思われる。

しかし、遺伝学の進歩により分子レベルでの進化は中立的であるという研究が趨勢を占めると、適応主義者が優位であった進化についての考えも、中立説が優勢となる。

そんな、様々な論争を証明するために使われたのが、本書のタイトルにあるカタツムリについての調査であった。
ハワイマイマイ、ポリネシアマイマイ、モリマイマイ、そして著者の調べるカタマイマイ。
カタツムリたちの調査結果は、進化についての考えを左右してきた。

そんな進化とカタツムリの深い関係の一端が学べる本。
プロローグ・エピローグの幻想的な雰囲気もよい。

そして、自分が今まで読んだ生物関係の本が関係してくるのも面白かった。
細将貴『右利きのヘビ仮説―追うヘビ、逃げるカタツムリの右と左の共進化』
椎野勇太『凹凸形の殻に隠された謎』
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