『政治を語るフレーム 乖離する有権者、政治家、メディア』(東京大学出版会)

7月に読んだ本。

日本の一般有権者が政治に対して関わる能力を持つかどうかを、有権者の政治を捉える枠組み(フレーム)から考察する。
結果としては、政治的な論点への認識のコストを踏まえながらも、政治を「会話の通貨」というフレームで、私的生活空間との関わりで政治を捉える有権者の能力を評価するものである。

稲増一憲 『政治を語るフレーム 乖離する有権者、政治家、メディア』。東京大学出版会。2015

有権者の政治に対する能力の高さは民主主義が有効に機能するかに関わる問題である。

従来は、政治的エリートのもつ政治的な信念との比較で、一般有権者の政治に関わる能力が低いと判断されていたが、質・量の2面から成る研究結果に基づき、一般有権者の政治に関わる能力は低くないという結果を導くのが本書。

一般有権者の政治的な事案への捉え方(フレーム)は、政治的エリートの捉え方とは異なり、また政治に関わる判断をするための労力(政治的な事案に対して一定の見解を持つための情報収集や判断の労苦)と結果(自らの行動が政治を変化させるには微小)のコストパフォーマンスを勘案して認知資源を節約して判断しようとするものである。

しかし、一般有権者のもつ政治を捉えるフレーム(抽象的概念、居住地域、個人の生活、仕事の経験、そして会話の通貨)を、質・量の2方向の調査から明確にすることで、これらのフレーム、特に「会話の通貨」(私的生活におけるコミュニケーションのツールとして政治を使う)は、政治を一般有権者から切り離さないようにするためにも有効に働いている。

こういったフレームは、一般有権者を政治参加につなげるきっかけとなり、民主主義に貢献すると著者は結論づける。
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