『入門 公共政策学』(中公新書)

7月に読んだ本。
学問のための学問ではなく、現実の問題解決に役立つために生まれた「公共政策学」の入門書。

秋吉 貴雄。『入門 公共政策学 社会問題を解決する「新しい知」』 。中公新書。2017

1章が公共政策学の概要、2~6章は政策の各プロセスについて、公共政策学の考え方を実例を元にしながら解説、7章で公共政策および公共政策学の改善についての提言を書く。

まず、1章で書かれる公共政策学の誕生背景や目的、特性について。

公共的問題=「社会で解決すべき問題と認識された問題」=政策問題
※何が公共的問題と固定されているわけではなく、社会が、ある問題を、私的な問題か社会的な問題か堂判断するかで変わる

◆公共政策=「公共的問題を解決するための、解決の方向性と具体的手段」
・解決の方向性と具体的手段は、「政策-施策-事業の階層構造(政策体系)」と言われる
 「政策」=「特定の課題に対応するための将来像や基本的方針」
 「施策」=政策を実現するための「具体的方針や対策」
 「事業」=施策を実現するための「具体的な手段や活動」
      -例えば補助、情報提供、規制、直接供給、課税。。これらの組み合わせ(ポリシーミックス)

・公共政策の主な担い手は行政であるが、近年では様々な行政(政府)以外のアクターが関与する(NPOや企業など)

・公共政策の決定は、社会によって行われる。

◆「公共政策学」とは、公共政策を研究対象とする学問(公共政策を改善し、政策問題を解決するための学問)である。
・公共政策学が生まれた背景には政策問題の複雑性(総合性、相反性、主観性、動態性)があり、既存の学問がその専門性と現実問題からの遊離により対応できなかった面がある

・第二次世界大戦中、アメリカのラスウェルにより提唱された「政策科学」が公共政策学の原型
・冷戦期に政策決定の改善が求められる中で、ラスウェルの提唱した「自動化の選好」が注目され予算編成や福祉プログラムに使用された。しかし、過大な分析負担により、これらのプログラムは挫折した
・公共政策への関心の高まりは、政策研究を活発化させ、政策科学・政策研究を包含して公共政策学が誕生した

◆公共政策学の特徴
1.「問 志向」-現実の政策問題への寄与が重視され、その解決が求められる
2.「コンテクスト志向」-社会全体の関連状況やアクター間の関係や理解を含む分析
3.「多元性志向」-関連学問分野の知識、実務知などを取り入れる
4.「規範志向」-価値や規範を取り扱う

以下の2~6章ではそれぞれ政策過程とモデルケースで、公共政策学の方法が説明される。
2章:問題の発見・定義/少子化対策
3章:解決案の設計/中心市街地活性化政策
4章:政策の決定/一般用医薬品インターネット販売規制政策
5章:実施/生活保護政策
6章:評価/学力向上政策

7章では以下が書かれる。
◆公共政策の改善
・政策形成の改善-知識の多元性の確保の重要性
 -政策共同体が「閉じて」いる(~ムラ)と、知識が偏り政策も片寄る。また、社会に受け入れられにくくなる。
 -「参加型政策分析」により、利害関係者の「現場知」や社会の「一般知」も取り込んだ「開かれた」政策形成が必要
  ←パネル方式や委員選定時にバランスをとるための基準(アメリカならEEGG基準)など

・政策決定の改善
-戦略という観点-政策プロセスに関する知識を元に、基本戦略・フレーミング・政策学習・言説という4つの戦略から政策案に合意を形成する

・政策実施においてはデザインとマネジメントをきちんとそろえる

◆公共政策学の改善
・合理的政策決定の呪縛から離れ、開かれた政策形成や知識形成の観点を取り入れること

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