『命のまもりびと』(新潮文庫)

6月に読んだ本。自殺を防止する取り組みを書く本。

中村智志。『命のまもりびと 秋田の自殺を半減させた男』。新潮文庫。2017(文庫版)。


日本での自殺率ワーストの県であった秋田県。
官・民・学が連携し、秋田県の自殺率は半減した。秋田モデルと呼ばれる自殺防止の取り組みの中で、主に経営者の相談窓口として活動するのがNPO法人「蜘蛛の糸」。

本書は、ノンフィクションライターである著者が、秋田県で活動するこの団体を設立した佐藤久雄氏について、彼の生い立ちやNPOを立ち上げるきっかけ・活動内容を、密着した取材を元に書き上げた本。
主に3つの内容で書かれている。
ひとつは、佐藤氏自身の人生
次に、佐藤氏の自殺防止の活動内容
三つめが、東日本大震災の被災地での佐藤氏の活動。

佐藤氏は、元々不動産会社の社長であり、一流の経営者であったが、バブル崩壊を読みきれず倒産。
そこから、うつ病を患い、自殺一歩手前まで追い詰められる。
そんな、彼を救ったのは家族であり、また彼自身のそれまでの経験(うつ病に以前になったことがありその時の体験から来る早目の治療、散歩などで自然に意識的に触れ、また読書で先人たちの言葉から肯定と元気をもらうなど)でもある。
そんな彼が自殺防止のための活動を始めたのは、知り合いの経営者の自殺であった。
多くの中小企業経営者が不況の中で追い詰められ、また、自殺を選ぶ人が居る。
自らの経営・倒産経験を踏まえ、中小企業経営者の心理を理解し、助けられるのは自分だと思った佐藤氏は、NPOを立ち上げて追い詰められた彼らの声を聴く。

そんな佐藤氏の自殺対策活動の基本は面談。
相手の話をひたすら聴く、次に会う約束をする、面談者へ無理のない宿題を出しながら、一緒に様々な可能性を考え対策を考え地道に当たっていく。。。
決して即効性があるわけでなく、また全ての人を救えるわけでもない。
しかし、佐藤氏は諦めることなく、相談者一人ひとりと向き合っていく。

佐藤氏の相談が効果があるのは、かっての自分自身の脆さや自分の弱さを十分に理解した上で、一人ひとりの相談者として向き合う真摯さにあるように感じた。
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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

tag : 命のまもりびと

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