『プライバシーなんていらない!?』(勁草書房)

6月に読んだ本。

ダニエル・J. ソロブ 『プライバシーなんていらない!? 情報社会における自由と安全』 勁草書房。2017

著者は、プライバシーに関係する法についての研究で著名なアメリカの法学者。
アメリカの事例が主となるが、プライバシーと国家の安全について本書で議論を行っている。

PART1では、プライバシーの問題について以下のポイントが示される

・プライバシーと国家の安全はトレードオフの関係なのか(国家の安全を守るためには、プライバシーが守られない必要性があるのか)
・プライバシーに対する国家の様々な侵害が、国家の安全に有効なのか

これは、「やましいことは何もない論」=「やましいことがないのであれば、安全のために、プライバシーを制約するのは問題ない」に対するものでもあり、この論が前提としている考え方がそもそも成立しているかをキチンと考えることの重要性を示す。

前者については、国家の安全とは何か、についての認識が振り子のように揺れていることと、有事の際にたやすくプライバシーの侵害が許可されることが、法の支配を無意味にすることを指摘する。

後者に対して、プライバシーを侵害して得た情報で、誤って逮捕された人の例も挙げられながら、本当にプライバシーに関わる情報を収集することが、国家の安全維持に有効な手段かについての疑問が呈される。

【感想】
秘密にするのはやましいから。。。に対する反論を募集したときに
あなたの家にはカーテンはありませんか?という著者に寄せられた回答に納得。

それ以上に、「やましいところは何もない論」が前提としていることの手段が有効なのか、目的は正しいか、の視点が参考になる。
日本で今まさに共謀罪が決まろうとしている中、こういった原則がもっと議論されてもよいのかと思いましたが(国会でされることはないだろうなぁ。。。)

また、個人が侵害されて問題ないとしているプライバシーについても、それらの情報が組み合わされたとき、本人が思っている以上に本人の情報をさらけ出していないかを示唆し、またそれが本来の意図とは違う解釈をされる危険性を示す。
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