『平安京はいらなかった』(吉川弘文館)

5月に読んだ本。
平安京はその成立に、日本の(不相応な)対外国間の理念があったために、現実には不必要かつ実現できない都となってしまった。
いわゆる「京都」像を解体しようとする著者による、「千年の都」論。

桃崎有一郎 『平安京はいらなかった 古代の夢を喰らう中世』 吉川弘文館。2016

平安京は無用の長物である、を提起・検証する本。

都を考えるとき、天皇制の物理的実体としての都の側面を考えることが必要になるが、京都というものを考えようとするには、今や著者の専門である中世からは京都の意味を本当にわかることはできない。
京都の意味を本当に理解するためには、京都の原点となった「平安京」を理解する必要がある。そして、その平安京には理念と実態に食い違いがあり、本来表そうとした理念はなんだったのか?を紐解くのが本書の内容。

平安京の実態はその使いにくさにある。
・規格としては唐の都を模倣した区割り、身分制の秩序を物理的に表現した区割りなど
・朝廷だけでは維持できず、住人への街のメンテナンスや厳しい街並みへの制限を強いるもの
・広すぎるサイズ、主要な街路
・土地の実態(水害が多い地域も構わずに計画地域として入れ、結果として開発できない)
・政府の規模や内実の変遷に合わない大内裏の広さ

これらの使いにくさは、平安京がある種の理念・理想のもとに計画されたためである。
・対外的な緊張に対応するために作られた律令国家を物理的に表現するための都として計画された
・国力に伴わない、日本の対外理念(日本が中国と並ぶ中心であり、中国(隣国)以外の周辺国は日本の諸藩である、という背伸びした考え)が、対外の使節に見せ付けるための都のサイズや街並みを求めた
・中央集権化を進めるために必要なサイズを意図していた

理念と実態が乖離し、使いにくい都となったが、結果として実態にあわせるように平安京は縮小し、その地を微妙にずらしていった。

読んでいて、この平安京の理念が、今の北朝鮮の情景にも思えたり、あるいは今の日本の東京オリンピックなど対外的なアピールにもあるような気がして。。
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