『ものづくりの数学のすすめ』(現代数学社)

5月に読んだ本。

松谷茂樹。『ものづくりの数学のすすめ 技術革新をリードする現代数学活用法』。現代数学社。 2017

企業等で働く技術者で「数学が必要かもしれない」と考えるものの、数学の教育を受けているわけではない人を想定して書かれた。
このため、私のように文系であっても比較的読みやすいし、ものづくり(あるいは企業活動)に数学がどう活かせそうかを考えるきっかけともなる。

著者が考える「ものづくりの数学」とは何かが第一部で書かれる。

ターゲット思考であり、さらなる技術革新をすすめるために必要な手段である「ものづくりの数学」。

これが今日本で必要となっている背景としては、日本人が拘り過去の成功を築く元となった「精緻性と高度な品質」「モノへの拘り」が時代の変化と合わなくなったことがある。
技術を誰でも手に入れられる「技術のコモディティ化」、システムとしての性能が重要さを増す「技術のシステム化」、過剰な品質保証を必要としない「製品ライフサイクルの短縮」という背景のなかで、従来の方向を転換することが求められており、そこに数学が役にたつと著者は考える。

「技術のコモディティ化」に対しては、技術を編集・システム化するために必要な開発効率化に数学モデルが役立つ。
「技術のシステム化」には、システムの範囲確定と抽象化においてマクロ/ミクロの視点を融合させる現代数学の考えが必要。
「製品ライフサイクルの短縮」には、IOTとビックデータからの数値化とそれを扱う数学的な考え方。

これらに対し、数学が具体的にどのように役立てられるかを考察するのが第二部であり、ここでは著者の企業経験なども書かれる。著者は自らの経験から次の6か条を現場の課題解決に数学を役立てるために挙げる。
1.黙し、傾聴
2.黙し、俯瞰
3.置石を踏むようなロードマップを用意。3ヶ月に1つはアウトプットを出す
4.problem builder
5.結果を共有
6.計算機シミュレーションを使いこなす

その上で数学モデルを構築するために、以下の7か条を挙げる。
1.フェルミ推定を利用
2.グラフ化
3.避けられない事実から目を背けない
4.特徴量の単位に着目
5.最も自然な言葉を捜す
6.オイラー、ガウスに倣う(高見に立ち、シンプルに)
7.線形項、リーディング項を掴む

第三部では、ものづくりの数学者となるための勉強法が説かれる。
理論技術者であるための6か条(仕事は7割、時間はない、ロードマップ、3種類の本、基礎・本質を固める、公式は忘れる)
異分野の研究理解のための7か条(初心者本、本は後ろから、言葉のシャワー、慣習に従う、フォークロアを克服、big problemに近づかない、easy-going)
そして現代数学の独学方法についてが最後に書かれる。
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