『終末期医療を考えるために』(丸善出版)

4月に読んだ本。
盛永審一郎(著)、ベイツ裕子(編集協力) 『終末期医療を考えるために 検証 オランダの安楽死から』。丸善出版。2016

今から15年前の2002年に安楽死法が施行されたオランダ。
その中で実存的苦悩(生きるのに疲れたなど)はどのように議論されたかを、オランダにおける耳鳴りによる耐えがたい苦痛から安楽死を選択した女性のケースを中心にみる。

このケースは、2014年に安楽死(介助自殺)を選択したオランダ人女性で、13年間の耐え難い耳鳴りに苦しめられてきた。
24時間ひっきりなしに続く激しい痛みを伴う耳鳴りに、国内外の専門医の診断・治療を受けたが治癒は不可能であった。
介助自殺後、オランダ安楽死審査委員会は、このケースにおいて「注意深さの要件」を満たしていないとし、安楽死を支援した団体からは反論が行われた。

ここで以下4つの問題を著者は考える。
1.死を選ぶ権利(耐え難く解放される見込みのない苦しみがあれば死んでもよいのか)
2.医師の違法性はないか(1のような場合に医師が患者の安楽死の希望に手を貸すことが許されるか)
3.すべり坂の問題(苦しんでいる人の手助けを認める安楽死法は社会的弱者に脅威にならないか)
4.注意深さの要件を欠くとされたのはなぜか

オランダにおける医療上の死の決定は
①生を維持する可能性がある治療をやめる
②苦痛などを緩和する決定(緩和医療死)
③安楽死や医師による介助自殺
があり、安楽死法は③となる。

安楽死の際に、医師に求められる注意深さの要件とは
・患者の要請が自発的かつ十分に考慮されたものであることを確信
・患者の苦痛が耐えがたく解放される見込みがないものと確信
・患者に状態・見込みを説明
・患者と共に状態改善の見込みがない結論に達し
・別の独立した医師に相談・その医師の診察のもと上記4点に合意し
・安楽死を慎重な方法で実行
の6つにしたがっているかどうかで判断される(ここと、オランダにおける家庭医の役割などが著者の問題2についての記述になるか)

耳鳴りのケースでは、代替案がなかったかについて精神疾患に関わる領域での代替案がなかったかを示すのが不十分だったと思われる点で議論がなされた(患者にあった精神科疾患が何らかの原因となっている可能性があるが、その分野での別の医師の診察がなされるべきであったとみなされた)-ここが著者の問題4についての記述

すべり坂の問題については、途中でオランダにおいて安楽死を容易にokとしないための制度があっての法案であることを示す(著者の問題3)。

オランダおよび近隣国の事例を元に問題2~4についてはある程度の回答となりうるものを考えたが、問題1については著者は明確な答えを出すことは難しいとする-第七章における日本のケースとエピローグにて考察



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