「喪神」(『秘剣・柳生連也斎』)(新潮文庫)

この短編がなんとなく読みたくなって。
五味康祐「喪神」(『秘剣・柳生連也斎』。新潮文庫)

武芸大会に出場し、不思議な強さを見せ。。。そしてその場で真剣勝負に応じ2人を斬った瀬名波幻雲斎信伴。
その後山中に隠遁した彼の元へ訪れたのは、切り殺された2人の内の1人の息子、哲郎太であった。
哲郎太は幻雲斎に負けるものの、命を奪われることなく、そして奇妙なことに彼の元で学び始める。
哲郎太に流儀の秘伝を伝え彼らはいつしか師弟となり、幻雲斎の義理の娘と哲郎太は深い仲にもなる。

しかし。。。哲郎太が流儀を修めたと思われるとき、幻雲斎は彼に山から去る時期が来たと告げるのであった。

最初、タイトルにつく「神」は、哲郎太にとっての幻雲斎のことかと思っていたのだったが。。。
「喪神」=「喪心」は、幻雲斎の剣術の特徴を示すもの。
それは夢想剣であり、それを得るためには世の修行とは異なり、思慮(精神の働き=心=神)により奥義を求めるのではなく、人間本然の性に戻ることでしかできない。本能の赴くままに動く、欲望を本来の欲望そのままの状態にあらしめることが求められる。
本能の防禦は守ろうとする意志さえもない。
そんな状態を示すものと思われる。

このあたりの技術、精神のあり方については流派・人それぞれであろうな、と思いながら、ふらふらと立ち去る哲郎太のその後は、また幻雲斎同様なのかもしれないと思ったり。
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