『ザ・ピープル イギリス労働者階級の盛衰』(みすず書房)

1/9の週に読んだ本。
セリーナ・トッド 『ザ・ピープル イギリス労働者階級の盛衰』。みすず書房。2016

1910年代以降の1世紀、イギリスでおきた、労働者階級に属する人々がいかに労働者階級というものを成立させ属してきたかを、様々な個人・家族のヒストリーから描く。

後記として本書に収められた「わたしたちの現状2011-2015」にある、現在の状況-政治的・経済的に少数の者たちが、不安定な状況をあえて産み出し、人々をより従属的な地位に追い込んでいる状況-に対し、1世紀間のイギリスの政治・経済と労働者階級の関係を俯瞰することで、私たちの物語であり、同時に政治・経済的なテーマであることを示すものとなっている。

第一次世界大戦前は、ほとんど権利や福祉の恩恵がなかったイギリスの労働者たちであったが(1章)、第一次世界大戦による国内産業への労働力の確保の問題が、女性をメイドから工場等の労働者へ移動させた。しかし、この動きは第一次世界大戦後の中流階級の労働者階級が力を持つことへの反発を受ける(2章)。

戦間期には、恐慌による失業が労働者階級の共通的な問題として認識され、イギリス国内での労働党の動きとあいまって、労働者は徐々に社会的な影響力をつけていく。
これを加速させたのが、第二次世界大戦による労働力の確保の問題であり、戦後の労働党政権誕生へと繋がった(3~6章)。

労働党政権は、労働者へ様々な恩恵を与える政策を実施(国民健康保険、無償教育機会の拡大、社会保障、雇用)し、この時期に「揺りかごから墓場まで」が言われた(7~12章)。

しかし、オイルショック前後の経済的な状況悪化から、経営者と労働者の利害対立が徐々に激化し、その調整が難しくなってくると、1979年にサッチャー保守党政権が誕生し、それまでの充実した福祉から路線は転向、社会的な格差が拡大していく(13~16章)。

こういった流れを、個々人や家族の歴史から裏づけし追っていくのが本書の特徴。

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tag : ザ・ピープル イギリス労働者階級の盛衰

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