『主婦パート 最大の非正規雇用』(集英社文庫)

11/14の週に読んだ本。
『主婦パート 最大の非正規雇用 』
本田一成。集英社文庫(0528)。2010

主婦パート。「仕事内容は簡単で、低賃金は当然」という見方に対し、経済学者である著者が、

・国と企業そして社会により、低賃金に抑えられた実態
・低賃金の一方で、仕事内容は正社員と変わらない状態になっている

ということを、主婦パートへの実態調査を含め明らかにしていく。
また、主婦パートへの過大な仕事のつけ込みが、個々の主婦パートという働き方自体を不可能にし、さらには主婦パートを当てにしている企業活動や社会(過程)を崩壊させている現状をまとめる。

主婦パートの低賃金が官民により作られたものであることを書くのが第3章。
国は税制・社会保障制度の構築の中で、妻の働きを一定の範囲内におさまることを誘導するような配偶者控除(103万円の壁)や、年金における第三号被保険者の条件(130万円の壁)で、「壁」を超えない年収という雇用形態を作ってきた。
そこには、家庭と企業に福祉の負担を強いる「日本型福祉社会」論がある。

企業は、主婦パートが130万円を超えないようにすれば、企業自身の社会保険料負担を避けることができるために、コスト削減のために正社員よりも主婦パートを積極的に雇用するようになる。
主婦パート層の事情につけ込み、サービス残業の常態化や、正社員との賃金格差が当然というような状況が作られてきた。

一方で、そういった主婦パートを当てにした企業活動への変化についてが、第4章(主婦パートの「戦力化」から「基幹化」へ)で書かれる。
主婦パートは正社員なみの働きを求められ、実際に正社員と同様の仕事をしながら賃金の格差は据え置かれているままである。

こういった構造が、主婦パートへの負担増となり、また家庭でのサポートもないため、家事・育児・介護の負担と仕事の負担が主婦パートにのしかかり、主婦パートを破壊しているということが、第5、6章で書かれる。

こういった流れが、今後どういった影響を企業に与えていくか。
・主婦パート依存の企業体制が、主婦パート層を失うことで成立しなくなる(企業が人材開発を怠ってきたツケ)
・いびつな主婦パートの存在による、正社員の負担増と生産性低下
といったことが、第7章でまとめられる。

第8章では著者からの提言として、主婦パートではなく「パートタイム社員」として正当な待遇を与えることを書く。
・130万円の壁などの撤廃
・家庭の福祉負担を低減するための政策の導入
・主婦パートを無期雇用社員へ一本化し、仕事内容に応じた正社員との同額賃金化など均等待遇
などを提案し、東急ストアの例などを挙げる。
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