『他火のほうへ』(水声社)

10/10の週に読んだ本。
『他火のほうへ―食と文学のインターフェイス 』
結城正美。水声社。2013


「エコクリティシズムは、ごく単純化して言えば、環境の問題を文学・文化表象の観点から分析する批評分野」

著者は、現在の日本における食に対する意識の低さを、気になるレベルと意識変革(むしろ行動変革?)をもたらすレベルの違いを踏まえながら、食の抽象化がもたらしているのではないかと考える。
食に対してリアリティを持って向き合うことを、冒頭のエコクリティシズムによるアプローチを参考に、日本における食をめぐる文学的表象を、4人の作家へのインタビューと作品論考という形で示そうとしたのが本書。

作家と食の関わりをインタビューを通じて、そこにある作家の価値観、あるいは作家を取り巻く社会の価値観に目を向けつつ、それがどのように作品に表れているかを論考で分析していく。

対象となる作家は、石牟 礼道子、田口 ランディ、森崎 和江、梨木 香歩の4人。
インタビューのなかで、それぞれがもつ思いが語られていく様子が興味深い。

石牟 礼道子との対話では、「水俣病わかめといえど春の味覚」という『苦界浄土』の一節が印象的に語られる。
田口 ランディとの対話では、よそ者としてその土地で出されたものを食べる姿勢が書かれる。
森崎 和江との対話では、食事をともに食べること「共食」について食を通じた人と人の結合が書かれる。
梨木 香歩との対話では、食の境界(のあいまいさ)が書かれる。

僕にとって印象に残った一冊。
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