『命の格差は止められるか』

10/3の週に読んだ本。
『命の格差は止められるか ハーバード日本人教授の、世界が注目する授業』
イチロー・カワチ。小学館101文庫。2013

ハーバード大学で社会疫学を教える著者による、社会とそこで生活する人の健康の関係をについての講義。
日本の健康が、格差の拡大や病気を個人の責任に追い求める流れにより失われているという危機感から書かれた本でもある。

第1章 日本人はなぜ長寿なのか
日本人の長寿が、日本のソーシャルキャピタル=社会における人の絆や助け合いによって支えられてきたと考える。
しかし、そのソーシャルキャピタルが、所得を始めとする様々な格差増大の中で失われつつあることを危惧する。

第2章 経済格差が不健康の源
人間が、その人がおかれている社会的経済的状況によって健康状態が変わることを示す。
ポイントは、格差拡大がいわゆる負け組みだけでなく、所得の高い勝ち組にも影響を与えることであり、それは社会全体の平均的な健康状態が悪化することで、そのツケを社会全体が支払う必要に迫られることと、勝ち組のなかでの順位づけや幸福感の感じ方によるストレスから生じると考えられる。

第3章 格差是正のターニングポイント―教育と仕事と健康の関係
格差是正のために筆者が必要と考えるのは、所得格差の是正、幼児期からの教育、職の安定の3つである。
幼児期の適切な教育は、その人のそれ以降の生涯の生き方を決めるのに重要な役割を持ち、健康的に生きる習慣づけを行うものでもある。
また、働き方によって受けるストレスが変わり健康状態に影響を及ぼす。

第4章 健康に欠かせない「人間関係」の話
ソーシャルキャピタルが健康に与える影響を、人付き合いが自分の行動に与える影響、人と接すること自体の効用、つながりによる支援などから考察する。

第5章 社会全体の健康はこうして守る
社会全体の健康を向上するためには、社会のどこに投資をすることで病気になる人を減らせるかを考えることが重要である。
ここでは、ハイリスクを持った人への投資ではなく、社会全体への薄いが幅広い投資が効果があると考える(ポピュレーションアプローチ)。

第6章 果たして、人の行動は変わるのか
思考だけでなく感情に訴えられる手法が求められている。
社会疫学としては、個々人の責任に病気の理由を求めるのではなく、社会全体がどう環境を整えていくかが重要である。
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