『南海トラフ地震』(岩波新書)

9/19の週に読んだ本。
『南海トラフ地震』
山岡耕春。岩波新書(1587)。2016

今後30年以内に約70%の確率で発生する、マグニチュード8~クラスが予測される南海トラフ地震。
その歴史や発生した場合の被害予測、対策をまとめた新書。

序章 巨大地震の胎動
・2011年3月の東日本大震災が巨大になったのがなぜかを、断層のずれの拡大から読む。

第1章 くり返す南海トラフ地震
・南海トラフは、東海地方から西日本太平洋側(伊豆半島~四国沖)の海底の地形につけられた名称。

・紀伊半島先端の潮岬は、南海トラフの中で特別な場所。ここでフィリピン海プレートが周囲より深い角度で沈みこんでおり、地震時にずれにくい(=この東:東海地震、東南海地震と西:南海地震、は連動しにくい。ただし、同時ではないが、時間的に近接して発生していることには注意)

・南海地震の確率は室戸岬を根拠に求められている。1707年、1854年、1946年の地震の周期と規模から計算されている

・南海トラフでの巨大地震は684年の白鳳地震に記録が始まり、887年、1096-99年、1361年、1498年、1605年、そして前述の1707年、1854年、1944-46年と周期的に発生している。本書では各地震の規模や被害なども概観。

・南海トラフ地震の兆候は、日本列島の変形(地震のエネルギーの蓄積)、スロースリップに伴う低周波地震の発生(ひずみの蓄積)などに見ることができる

第2章 最大クラスの地震とは
主に東日本大震災をひき起こした日本海溝の地震との違いとしてまとめられる

・南海トラフでは、普段の地震活動が低調なかわりに、巨大地震として100~150年周期で発生する、普段は静かでいきなり巨大地震が発生することが特徴

・南海トラフでは、陸地と震源域が近いため、津波だけでなく揺れも大きくなると予想される

・南海トラフ地震が発生した場合に、被災地域に住む人口が大きい(3500万人。東日本大震災では約1000万人)。また、経済的な影響も大きくなることが予想される。
-東北の被災地の迅速な復興は、南海トラフ地震が発生した場合に備えて、助けることができる人を増やすという意味でも重要

・南海トラフ地震が起きた時のシミュレーションは、政府や各自治体が行っている。
東京:震度5程度が予想される。長周期地震動による影響は未知数
名古屋:震度6弱~震度7が予想され、建物の倒壊が発生。インフラへの影響は1週間以上。海抜ゼロメートル地帯は浸水状態が続くことが予想される。経済的な影響も大きい。
大阪:震度6弱が予想。津波が1時間半から2時間後に到達し、各所で津波や浸水による被害が予想される。また、長周期地震動による被害も予想される

第3章 津波、連動噴火、誘発地震
・震源域近いため、津波の到達が早い(外海で数分、伊勢湾奥で1時間、大阪湾の奥で2時間という予想)

・海抜ゼロメートル地帯への地震・津波被害は過去に経験のないタイプの被害となる。浸水がすぐに始まり避難がすぐにできなくなるなど、新しいタイプの被災が予想される。

・富士山が連動して噴火するかどうかは、富士山のマグマだまりの状態が判断できないので不明。ただ、最後の噴火から長い時間が立っているのも事実。仮に噴火した場合、山体崩壊が最悪のケース

・南海トラフ地震が発生した場合に、その後に誘発される地震が考えられる。それらは、活断層による直下型地震が想定される

第4章 被害予測と震災対策
・被害想定はケースによって変わるが、県別に見た場合にそれぞれで異なる。

・インフラの復旧状態から考えて、各個人が1週間は自治気で生き延びる必要があると考える

・南海トラフ地震への対策として、耐震・地震火災・津波・事業継続などがとられており、また防災教育や防災訓練も実施されている

・地震の確実な予測は難しいし、予測だけで被害を減らすことはできない

終章 それでも日本列島に生きる

「想定を超える地震や津波が起きうることを意識しなければいけないし、想定を超えると事前の防災対策が機能せず、甚大な被害が発生することをしっていなければならない」(p.197)という言葉につきるかもしれない。

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