『スポーツ脳振盪』

9/5の週に読んだ本。
『ほんとうに危ない スポーツ脳振盪』
谷諭。大修館書店。2016

ボクシング界やサッカー界において医療的なアドバイス・サポートを行ってきた著者が、スポーツによる頭部外傷の危険性をわかりやすくまとめた本。

はじめに
脳振盪は、以下5つの症状を含めて理解する必要がある。

1.意識を失う    -短時間の場合が多いが、機能的な回復にはもっと時間がかかる
2.健忘、記憶障害 -特にケガ以前の記憶がない、1時間以上続く場合は脳へのダメージが大きい
3.頭痛        -頭全体の痛み、重さ、吐き気などは頭蓋内で出血の恐れがある
4.めまいやふらつき-時間がたってからのめまいやふらつき、耳鳴りなど。3と同様に出血の可能性あり
5.性格の変化、認知障害

医療従事者であっても、脳振盪=1の意識を失う、だけが症状として表れると思っている場合があり、脳振盪は医師の間でも十分理解されているとは言えない。

1章
スポーツによる頭のケガの特徴は
①脳が揺すられることで脳の中がずれて脳の機能に異常がでる
②ずれにより脳の表面の血管が切れて出血(架橋静脈が切れることが多い)

脳振盪はくり返しやすく、くり返しによって①急性脳膨張、②脳振盪後症候群、③慢性外傷性脳症(ボクシングのパンチドランカーなど)といった取り返しのつかない状態につながる。
このため、脳内で出血があった選手の復帰を認めない(柔道、ボクシングなど)スポーツもあり、頭への衝撃を受けやすいスポーツには復帰させないことが望ましい。

2章
脳振盪が危ない理由は以下の3点
①脳の表面の血管が切れて急性硬膜下血腫の恐れ
②めまいなどでバランス感覚を失い、再び頭を打つ
③認知機能障害を発生する恐れ

特に②は意識が戻ったからといって競技に復帰することで、再び脳振盪を起こすような状態になり、危険な状態を生む恐れを高めるため、脳振盪を起こした選手は出場停止とすることが望ましい。
意識障害を見分けるには、「日本昏睡スケール」などがある。
1-①いまひとつはっきりしない、②見当識障害がある、③名前や生年月日を言えない
2-①普通の呼びかけで目を開ける、②大声や身体をゆさぶって目を開く、③痛み刺激と呼びかけで目を開く
3-①痛み刺激を払いのける(目を開けない)、②痛み刺激に反応がある(目を開けない)、③痛み刺激に反応がない

見当識のテストは、ここはどこ、今の競技場の名前は、日付や曜日、他人が誰か、3桁数字の逆唱、打撲前後の競技内容確認、などがある。

3章
各スポーツ団体でも、脳振盪の調査が始まっている(柔道、ラグビー、アメリカンフットボール、ボクシング、サッカー等)。
それぞれの状況や、各スポーツにあわせた脳振盪を起こさないような練習やプレースタイルなどの紹介

4章
脳振盪を起こして、意識がない・頭痛がひどいなどがあったらすぐ病院へ。
搬送前の確認は
1.意識はあるか、息をしているか
2・頚部保護
3.嘔吐がある場合は気道確保優先

脳振盪後は少なくとも24時間は安静にする。その後は1週間前後かけて段階的な復帰が必要

5章
指導者、親がやっておくべきことの紹介。
1.現場の医療責任者を決める
2.医療機関を予め決めておく
3.医療機関に連絡をとっておく
4.けが人の搬送手段を決めておく

最後に本書のまとめとして10の提言がある
1.頭をぶつけなくても、脳のケガはある
2.倒れた選手はすぐサイドライン
3.血が出た場合
4.健忘やふらつきなど変な症状は脳振盪を疑う
5.意識消失・健忘があったら病院へ
6.打撲後は何度も頭痛や吐き気のチェック
7.帰宅後24時間は1人にしない
8.24時間は休み、段階的に復帰
9.いつまでも頭痛が続くならもう一度検査
10.頭蓋内にケガを負ったら競技復帰は原則禁止
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テーマ : 読んだ本
ジャンル : 本・雑誌

tag : スポーツ脳振盪

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