『学術書の編集者』(慶應義塾大学出版会)

9/5の週に読んだ本。
『学術書の編集者』
橘宗吾。慶應義塾大学出版会。2016

名古屋大学出版会で『漢文脈の近代』など多くの賞を受賞した学術書の編集に携わってきた著者が、大学出版や学術書編集について書いてきた文をまとめた本。

序章では、紙と電子化それぞれの書籍の出版動向を踏まえながら、出版社に求められている選択(紙のみでいくか、電子化をするか)に触れる。また、過剰な出版点数に対する疑問と、質の高い本のみを出版することで出版社の信頼性を高めるという戦略を述べる。

第1章では学術書の編集とは何かを、編集の役割(企画を「たて」、原稿を「とり」、書物を「つくり」あげる)の3要素に分け、特に「たて」・「とり」について考察する。学術書の「たて」とは、学術書の著者への挑発(触発)と外部との媒介に核心があると考え、それぞれについて詳細が書かれる。

第2章では、著者が編集した『漢文脈の近代』を例に、どのように企画が生まれ(著者のなかでこのトピックがどのように他の本や研究者との関わりで育ってきたか)、誰に依頼するか、その後どのように進めていったかなどが書かれる。

第3章では、大学出版における「審査」について、どういったレベル・役割が求められるかをまとめている。

第4章では、学術書出版における出版助成のメリットとともに、積極的に利用すべきという意見が示されている。
読み終わって、市場・社会の声と学問的真理を媒介し、社会と学問の2つの声を交わらせ結びつけながら、そこに生じる摩擦を引き受けることが学術書出版の役割の1つと考える、という「はじめに」に書かれている姿勢への強い意志を感じた。
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