『日米「核密約」の全貌』(筑摩選書)

8/15の週に読んだ本。
『日米「核密約」の全貌』
太田昌克。筑摩書房。2011

日米間に交わされた「核密約」。
自民党政権下においては、その存在が政府により、時にはウソの答弁などで隠蔽され続けた。
民主党政権で初めてその存在が調査されたが、そのきっかけを作ったのが本書著者による調査と関係者に対するインタビュー内容の報道でもある。

本書は、著者が、「核の傘」をめぐり
1.日本への核の傘はいつ構築が始まり、どのように形成されたか
2.日本の歴代政権は、日本の「非核」理念と矛盾する「核の傘」をどう受け入れてきたか
3.アメリカの東アジアへの「核の傘」構築と、日本の日米防衛のための「核の傘」に政策上の齟齬はなかったか
を1950~1970年代の日米それぞれの視点からあぶりだしていくものである。

1.に対しては、日本への「核の傘」は、アメリカ軍部により、朝鮮半島を意識した極東の共産勢力に対峙するため1950半ば~1960初頭により構想されたものである。しかし、日本における根強い反核世論から、日本に直接核兵器を配備するのではなく、
・核分裂物質を除いた非核コンポーネント(核弾頭を装備さえすれば核爆弾となるもの)への日本配備
・沖縄への戦術核の配置
・朝鮮戦争直後からの核艦船の日本寄港
を次善の策としてとった。

2.に対しては、日本の歴代政権は核の脅しによる核抑止概念を理解し、「核の傘」を国防政策の中に位置づけようと考えていた。そこにはアメリカ同様に、朝鮮半島の共産化や中国の核開発を脅威と捉えていたためと考えられる。こうした中で
・アメリカの核戦力が戦争防止・平和の維持に役立つ・重要であるという認識を示し
・アメリカの「核の傘」構築を密約を介して可能とする
ようにしていった。

3.については、朝鮮半島の緊張化を脅威とみていた日本政権は、アメリカの核の傘戦略を積極的に受け入れており、そこに齟齬はなかったと考えられる。
しかし、
・日米間の調整が不十分であったことから、核の傘の実効性や信頼性が薄らぐ
・日米間の非対称的な同盟
・日本の国民が知らないまま、密約で核の傘への組み込みがされていたこと
といった問題がある。

それぞれの疑問に対し、アメリカの公文を始め関係者への取材結果などが細かく書かれている。
また、密約と言う形式の問題、そして核の傘構想自体の現代的な有効性への疑問から、今後をどのように考えるべきかという提言も最後に書かれている。
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