『チャイナドレスの文化史』(青弓社)

8/8の週に読んだ本。
『チャイナドレスの文化史』
謝 黎。青弓社。2011

服装の変遷は、文化の変遷であり、そこには社会・政治的な背景や経済・技術の変化も反映されている。
清朝末期に誕生した、いわゆる「チャイナドレス」の現在までの変遷が、いかに中国そのものの変遷と関わっているかを考証していくのが本書。

チャイナドレスの起源は、清朝の支配層である満州人の女性が民族的あるいは社会的地位を示す「旗袍」にある。
この服装は、当時漢人女性には特に強制されなかった(それが女性の社会的地位の低さのためということには注意が必要)。

清朝末期から清朝崩壊後、西洋文化がアジア・アフリカにモダンとして急速に流入する中で、上海では従来の満州人と漢人の文化や、身分の上下で別れていた服装が、この西洋の流入と交じり合いながら独特のファッション文化を生み出していった。
そこに新しい旗袍=現代のチャイナドレスが生まれた。

新しい旗袍は、満漢それぞれの文化から距離をおく「新しい」ものであると同時に、それぞれの服飾文化に由来するところがある新しい服として受け入れられていった。
この新しい旗袍は、同時にこの服を着る女性の社会的地位の向上も示すものであった。女学生という新しい女性の新しい権利を象徴する層を中心に、映画などの文化面でも取り入れられていく。
また、旗袍は「消費」する経済を示すものでもあり、また「国民」を表すものにもなっていった。

しかし、中華人民共和国の成立と文化大革命の伝統否定のなかで、いったんこの新型旗袍は所持さえも許されないぜいたく品、反革命的なものとなり、徹底的に否定される。この時代は人民服の時代となった。

文革後は、新型旗袍はあらたな「民族服」として位置づけられている。そこには、資本主義的な商品化が背景にある。

チャイナドレスが「民族服」となった背景的なところがわかり、また1つの服の形態が、単に服飾そのものの用途だけでなく、社会的な地位や象徴を示すものであったり、価値観や技術進歩などとともに形態が変わることを学ぶことができる本。
日本の「浴衣」あたりが、もしかしたらこういう存在なのかもなぁ。
関連記事

テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

tag : チャイナドレスの文化史

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

ホンの本好き

Author:ホンの本好き
読んだ本からオススメの本を、半分備忘録的に記録します~

最新記事
カテゴリ
最新コメント
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる