『指紋と近代』

7/18の週に読んだ本。
『指紋と近代 移動する身体の管理と統治の技法』
高野麻子。みすず書房。2016

指紋によって、国家が管理しようとしたものは何だったのか。
指紋登録の実態は、国家が国民に対し何を強制しているものなのか。

こういった問いに対し、主に日本の事例を元に考察したのが本書。

前者の問いに対しては、満州国において「移動する身体の管理」を指紋登録によって把握したという歴史から考える。
定住を基盤とする統治形態は、移動する者を野蛮な者と捉え、把握し管理しようとしてきた。
そのために、国家によって指紋が使われ始めたのはイギリスの植民地統治においてであり、満州国においては国境の労働者移動の把握を主な目的として指紋登録が実施された。

指紋登録による個人管理は統治者側にとっては夢の道具であり、日本においても非公式あるいは公式に実施されてきた。
最初に書いた後者の問い(指紋登録の実態は、国家が国民に何を強制しているものなのか)に対して、著者は戦後愛知県で
約20年にわたり警察によって行われた「県民指紋登録」の実態をまとめる。
また、外国人登録法によって指紋採取が20世紀が終わるまで行われてきた事実に、「日本国民」の物語を見る。

指紋に限らず生態認証技術は、現在のグローバル化時代において移動する人が増大するにつれ注目を浴びているが、そこに差別の構造が紛れ込まないか常に注意が必要である。それは自分に不利益があってからでは遅い。

テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

tag : 指紋と近代

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

ホンの本好き

Author:ホンの本好き
読んだ本からオススメの本を、半分備忘録的に記録します~

最新記事
カテゴリ
最新コメント
FC2カウンター
検索フォーム
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる