『ネオリベラリズムの精神分析』

6/13の週に読んだ本。
『ネオリベラリズムの精神分析 なぜ伝統や文化が求められるのか』
樫村愛子。光文社新書(314)。2007

ネオリベラリズム=新自由主義(あるいは市場原理主義、市場独裁主義)について、ラカン派社会学の立場から分析する。

著者がこの本を書いた背景としては、単に世界的な動向としてのネオリベラリズムの伸張だけでなく、日本(第一次の安倍政権下)における「美しい国」「伝統を無前提に擁護する原理主義」が大学の教育の枠組みの破壊への対抗もある。

第1章では、現在の社会がもつ流動性を、生活の不安定化(プレカリテ)という視点から分析する。
続く、第2章では「再帰性」、第3章では「恒常性」というキーワードを解説し、ネオリベラリズムの中での個人と社会を分析する。

自分自身を意識的に対象化することで、メタレベルから自己を振り返り再構築していく能力=「再帰性」は、個々人という主体に対してだけでなく、社会・組織の自己組織的変容にも見られる(後者の例がマクドナルド化)。
この再帰性は現在において、人々の乖離・格差やマクドナルド化という問題を生み出している。

再帰性はその条件として「恒常性」を必要としているが、恒常性はグローバリゼーションのなかで破壊されている(情報、時間、欲望)。

この恒常性の維持が現在かろうじて行われているのは、現代の社会における共同性の維持によってであるが、それらの日本や世界における事例を読み解くのが4章である(ニューエイジ、自己啓発セミナー、企業、オタク...)。

また、5章ではIT依存による単純化での問題先送りや解離的人格システムによる代替を分析する。

6章では、4・5章の貧しい再帰性/貧しい恒常性ではなく、本来の文化を豊かにすることでの恒常性について述べられる。

本書を読んでみようとおもったのは、はじめにのこの文章。

「(前略)二極化(格差社会)と生活の不安的化(後述する「プレカリテ」)が進み、それらの思想は、社会的問題を個人化し、自己責任と突き放し、社会を脱政治化させていくものとなった」(p.11)
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