『仔鹿物語』

6/6の週に読んだ本。
『仔鹿物語』
ローリングズ(著)、土屋京子(訳)。光文社古典新訳文庫。2012


19世紀後半のアメリカ、フロリダ。
家族で人里離れた開墾地に住むバクスター一家は父ペニーと母、そして12歳の息子ジョディの3人で、厳しい自然の中で生活を続ける。

厳しい自然環境(大嵐による森を含めた被害)。
森に住むさまざまな生き物とのも緊張した関係(ガラガラヘビにより父が生死をさまよう、野生動物による家畜の被害。。)。
隣家である(といってもかなり離れているが)フォレスター家との友好と敵対がまざったつきあい。

少年ジョディにとって、常に父ペニーは頼りに成る存在であり、父は狩りや農作業を通じながら息子に様々なことを伝え、息子も少年から大人へと変わり始めていく。

ジョディはある日、自らのペットとなる仔鹿フラッグを手に入れ、熱心に世話をする。
仔鹿と少年の仲睦まじい関係は、しかし野生動物の成長の早さとともに、一家の生活を脅かす事態を引き起こす。。。

父親が最終章で息子に言う言葉が心に残る。

「(前略)だが、人間は覚悟しておかなくちゃならんことがある。おまえも、もうわかったと思うが・・・・。おれの身に起こったことも、フラッグがああいうことになったのも、なにも特別な不幸ではない。人生というものが、そもそも、人を裏切るものなんだ」(p.391)

「(前略)たしかに、人生はいいものだ。すごくいいものだ。だが、楽ではない。人生は人間をぶちのめす。立ち上がると、またぶちのめす。おれは、これまでずっと、楽な人生ではなかった」

「(前略)だがな、淋しいのは、みんな淋しいんだ。なら、どうするか? ぶちのめされたら、どうするか? それが自分の背負うものだと受けとめて、前に進むしかないんだよ」(p.392)

なんとなく子ども向けの本という思い込みがあって読んだことのなかった作品。
しかし、twitterで @kotensinyaku さんがつぶやいていた
「題名から、子供向けの感傷的な話と思われるかもしれないが、本書はそんな甘い物語ではない。圧倒的筆力で時代と人間を描いた本格的な「大人向け」の小説」
という言葉に興味を持って読んだところ、まさにそのとおりの作品。
時代と人間、あるいは自然と人間(の圧倒的な存在の小ささ)を、大嵐の章だけでなく、最後の父から息子への言葉に感じる。


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