『合気道における合気の意味の歴史的研究』-竹下勇の資料が貴重

【読んだきっかけ】
合気道関係の本を探していたら、こんな本(博士論文を大学出版会が研究書として出版したもの)があったので読んでみました。

『合気道における合気の意味の歴史的研究』
工藤龍太。早稲田大学出版会。2013
合気道における合気の意味の歴史的研究 (早稲田大学モノグラフ)
【内容】
著者の博士論文の書籍化。

序章
第1章 近世武道伝書にみられる「合気」の用例の変遷過程 •はじめに

近世の主に剣術(一部柔術の)の伝書に使われている「合気」の言葉の意味合いを調査。
「合気」は互いの攻防の拍子などが合ってしまった膠着状態で、避けるべき状態という認識がほとんど。
一部伝書では、この状態から「合気」を外して勝つための工夫まで書かれている。

第2章 明治期以降の「合気の術」、「気合術」関係書籍にみられる「合気」

明治期において、「合気」という言葉がどのように使われたかを見る。
テクストとしては『合気之術』と、大東流教授代理の佐藤完実の書いた書籍など。

気合術や催眠術との相違などが記述されながら、合気を否定的な膠着状態として捉える近世の流れを背景にしつつ、合気を勝利を得るための技術として捉え直そうとしている。

第3章 合気道における合気の意味:植芝盛平とその弟子たちの言説を中心に
合気道の成立過程と大東流との関係(大本教の影響)を追いながら、合気道における「合気」の意味合いを探る。

・ 初期の弟子である海軍大将竹下勇によって残された資料(覚書『乾』『坤』など)や、植芝盛平の初期の『武道練習』『武道』などの読解では、技術としての合気がみられる。ここでは、相手の攻撃を止め、相手のバランスを崩すことを合気として捉えていると考えられる

・盛平が大きく影響を受けた、大本教の出口王仁三郎の史料を読解する。そこには神の愛や神人合一といった言葉がみられる。
出口による武道(大東流)の肯定的評価のもと、盛平が合気を技術から理念として捉えなおしたと考えられる。
理念的な「合気」は神(愛)との和合であり、「心身の浄化」である。

・合気道を神人合一・和合として捉える考え方は、戦後の弟子たちにおいては宗教色を薄めるかたちで継承された。
富木謙治:技術的な「柔の理」
塩田剛三:「天地自然の理に従って行う技」
藤平光一:「天地の氣に合する」
砂泊諴秀:闘争術としての技術とカミワザ
植芝吉祥丸:合気道は試合をしないという非競技化の方向を明確化したが、これが技術としての合気を捨て去る結果につながっているのではないか

【感想】
戦前からの合気道における「合気」の意味合いの変遷(技術→宗教的要素の強い神・愛の強調)が、大東流と植芝盛平の関係と合わせて書かれており興味深いです。
竹下勇の資料解読が丁寧にされており、巻末資料のその解読資料は貴重なものだと感じました。
市販されてるのかよくわかりませんが、都立図書館にはあります。
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合気の意味(語源)

合気の意味については、剣道・柔道にあける否定的なもの。禅密気功の陰陽合気法、大東流・合気道の肯定的なものがあります。
 大東流の合気は修験道の気合術から名付けたものです。近年、国会図書館が明治以降の文献を発表しました。
①「合気之術」は、読心術と気合術
②「活殺自在気合術」は、気合は動的な有心気合、合気は静的な無心気合とあり、明快な解説です。
「気合術独習術」「忍術気合術」にも合気術が書かれております。
忍者は修験道ですから気合術があります。

合気は愛という哲学的な意味は客観性がなく、武田惣角は修験道の大家易師万之丞(気合術で治療)から教えられました。このことは工藤さんにお伝えしております。
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