『少しだけ「政治」を考えよう!  若者が変える社会』 松柏社

政治を変えるわけではなく、政治を考える。
市民(シティズン)として、社会・政治に関わるためのシティズンシップ教育として、フェリス女学院大学で行われた複数の同学院の教員やゲストによって行われた講義の講義録。

島村輝、小ヶ谷千穂、渡辺信二(編著) 『少しだけ「政治」を考えよう!  若者が変える社会』 松柏社。2018


第1章 私たちの私たちによる私たちのための政治
政治に関心を持つ意味、必要性をまとめる。憲法に従った政治を政治家に求めることと選挙権をきちんと行使することの重要性を示す。

第2章 頼りにならない日本の裁判所
日本における司法の独立性の弱さを制度面から示す(人事権、任期、給与体系等)

第3章 人権問題としてのカルトそしてマインド・コントロール
大学におけるカルトの問題を、学生だけでなく学校の問題としても捉える

第4章 歴史をつくる若者たち 近現代社会における学生というエージェント
1960年代アメリカの学生運動を取り上げ、それぞれの学生運動の共通点と違いなどを述べながら、学生が社会を変化させる主体=エージェントになりうることを示す

第5章 第二の誕生と公共空間 なくてはならない他者の存在
アーレントによる第二の誕生として位置づけられる公共への参加はどういうものかを示す

第6章 「ブラック社会」を生き抜く知恵 『蟹工船』10の名文句
蟹工船がブームとなった背景を見ながら、蟹工船の世界と現代のブラック社会の共通点・相違点を見る

第7章 近代民主主義と市民 日米文化比較の観点から
人文学が社会において持つ意味を、日米(日欧)の違いから読む

第8章 ベートーヴェンとショパン、自由への行程
音楽に表れる自由を2人の作曲家の背景と作品から解く

第9章 女性の身体をめぐる闘い ワイマール共和国時代ドイツ、妊娠中絶禁止法と女性たち
国家が女性を管理する。戦時中に表れた同法と抵抗からその思惑や拒否を考える

第10章 ピープル・パワーとスチューデント・パワー 路上とキャンパスから政治が変わる
フィリピンに見られるラリー文化を見ながら、声をきちんと上げることや見てみぬふりをしないことの重要性を示す

第11章 女性の「性」が大切にされる社会にするには 日本軍「慰安婦」問題と性教育
性教育へのバッシングを考えながら、性と社会について考察する

第12章 For Others「他者のために」の精神を
卒業生による社会活動の事例としてゲストによる取り組みを示す

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『科学のワザで一生やせる。』(主婦と生活社)

雑誌「NHKガッテン!」に掲載されたダイエット関係の記事をまとめたムック本。
様々な種類(食事、運動、生活習慣)の方法が載っているので、自分にあったものを探すのによいかな。


NHK科学・環境番組部、 主婦と生活社「NHKガッテン!」編集班 (編)
『NHKガッテン! 科学のワザで一生やせる。 』 主婦と生活社。2017


冒頭は急激なダイエットが肝臓に負担をかける危険性を示し、本書でまとめるようなゆっくり安全な方法をすすめる。

PART1  「糖質」をきちんと食べるダイエット
糖質を減らしすぎることでカロリー不足にならないように、ほどほどの糖質低減(主食を半分)とたんぱく質・脂肪・食物繊維をきちんととり、血糖値コントロールのため3食とも糖質を入れることをポイントとして示す。
参考となるレシピも紹介される。

PART2  「噛むトレ」ダイエット
よく噛むことで、交感神経を刺激して内臓脂肪が燃え、満腹中枢も刺激され食事量が減る。
ひと口30回、箸をひと口ごとに置くことでのダイエット方法を示す。

PART3 「食べ方」を変えるダイエット
最初に野菜を食べる、だけでダイエットが続けやすい

PART4 「食材選び」を変えるダイエット
糖や脂肪の吸収をおだやかにする食材として、氷エノキ・寒天・こんにゃく・山いも・おからを取り上げ、それぞれの具体的な使い方を示す。

ここまでが食事関係。ここからは運動関係。

PART5 7cm「大また歩き」ダイエット
おなかやおしりのたるみは、太っているが原因ではなく、筋肉の間にたまった脂肪による筋肉のハリの衰えによるもの。
たるみをとるためには、歩幅を大きくするだけでも効果がある。また、その応用編として3分間筋トレ歩きも紹介される。

PART6 「スロージョギング」ダイエット改訂版
スロージョギングの注意として、脚の指の付け根での着地をあげる。考案者による行い方の解説。

PART7 「スローステップ」ダイエットラクラク継続術
手軽にできるスローステップを、いかに継続して行うか。実践して効果があった人の経験談を多数掲載。

PART8  「部分引き締め」ダイエット
部分引き締め(やせではない)により、気になる部分のたるみを改善するためのトレーニングメニューの紹介。

PART9 ダイエット絶対成功の新常識
いくつかの新しい知見の紹介

自分自身が食事である程度やせたものの、たるみが気になっていたので、PART5の話に関係するのかなと感じました。
やはり、無理なく運動というか日々の生活で少し大またとか取り入れていくのがいいんだろうなぁ

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『マスクロード』(NHK出版)

先日都内の某大学博物館に行った時に、たまたま雅楽(舞楽)の映像が流れており、日本の古代のものであるが、動きなどが中国的なものに思え、どういうものかなぁと思ったときに図書館で見つけて読んだ本。

野村 万之丞 『マスクロード 幻の伎楽再現の旅』 NHK出版。2002

著者は狂言の野村万蔵家に生まれ、幼いときから狂言師でありまた仮面打ちを職業としていた祖父の影響を受けて、仮面に強く関心を持っていた。
そんな著書が、一時ヨーロッパで演劇を学んだりする中で仮面の可能性を再認識し、日本で仮面の可能性を活かした芸術作品づくりとして考えたのが、飛鳥時代に日本に伝来し盛んとなったものの、中世に滅びた「伎楽」の再現である。

正倉院などに残る「伎楽面」を研究史、14種類の仮面のルーツを日本、そしてアジアへ追う部分が本書のメインとなる。
中国、雲南に能の原型を見、ブータン・チベットでは仮面と宗教の関係を考察しながら、そこにある伎楽面のルーツを発見する。
さらには迦楼羅面を追ってインドに行き、また伎楽を伝えたといわれる人物を追って韓国へ向かう。

10年のフィールドワークにより明らかになった14種類それぞれの面の意味合いが最後にまとめられ、「真伎楽」という作品へと繋がる。

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『健康格差』(講談社現代新書)

NHKスペシャルにて取り上げられた健康格差と言う問題を、あらためてまとめ書籍化したもの。

NHKスペシャル取材班 『健康格差 あなたの寿命は社会が決める』 講談社現代新書。2017

健康格差は、日本社会における社会保障の限界が、人々の健康面に具体的に表出した形かもしれない。

失われた20年によりセーフティーネットが縮小・消失する中で、健康格差は高齢者だけでなく、子どもやひとり暮らしなど相対的貧困状態にある人々の健康状態の悪化という形であらわれている。
現役世代やこれからの世代に健康格差による影響が出ているということは、それらの人々を財源のあてにしている社会保障をさらに縮小させる可能性もある。

では、社会保障のあり方をどう変えていくべきか。
本書では、困っている特定の人へのアプローチではなく、みんな(全員)を対象にする「ポピュレーション・アプローチ」が1つのあり方として示される。

社会保障のあり方について、番組内での討論の様子も書かれている。

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『ハンス・ヨナスを読む』(堀之内出版) つづき

前回(http://honnohon.blog137.fc2.com/blog-entry-1999.html)からの続き。
前回では、ヨナスの考える生命の特徴(科学による没価値的な存在ではなく、流動しながら未来の存在を目指す存在を肯定することで自らの価値を肯定するもの)や人間を定義するもの(像を作ることができる)などまで書いて、その続き。

戸谷 洋志 『ハンス・ヨナスを読む』 堀之内出版。2018

第5章 責任について
・未来への責任という問題意識に先立ち、責任とは何かが考察される

・ヨナスの考える責任の根源的なものは「子どもに対する大人の責任」。保護を訴えかける何もできない子どもに対して、大人は子供の訴えに保護することで応答し責任を果たす、というのがそのありかた。

・その根底にある直観は、私たちは眼前の傷ついた存在からの呼び声に対し、その生命を助けなくてはいけないと感じることであり、その思いが倫理的な配慮の根源である

・責任は、私が選択するのではなく、私がその存在を左右できる傷ついた生命からの呼び声を聞いた時、引き受けなくてはならないもの。そのために、私はその存在に対して「生命」を看る眼をもつことが必要である。

・しかし、あくまでその傷ついた生命は他者であり、それを支配することは責任ではない

・人間は、応答の可能性を持つという意味で道徳的な存在である

・責任の対象は、個々の存在であるが、責任の正当化は生命が価値を持つ(善である)ところから獲得される

第6章 未来倫理について
・生命が責任の対象であり、人間(だけ)が責任の主体となる。責任の主体となる人間の存在が前提としてないと責任は成り立たない。人間は責任の可能性を担うものとして存続することが義務付けられている

・責任の担い手として未来世代が必要であるが、単に存在するだけでなく、人間の自由=責任能力を果たす存在として必要なのであり、人は未来世代に対して可能性の地平を開くことが義務付けられる

「あなたの行為を原因とする影響が、地上における真に人間らしい生き方の存続と両立するように行為せよ」

第7章 神について
・未来への責任を果たすことは、その後に続く人類の歴史を条件づける。それは、人が未来への歴史にその瞬間その瞬間として永遠に直面し続けることである。

まぁ、学生でも研究者でもないですが、こういった本がもっと普通に読まれるとよいのになぁ。。。

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『発掘された日本列島 2018』(共同通信社)

文化庁により平成七年度から行われている日本での発掘調査の成果を広める「発掘された日本列島」展。
この本は2018年度に行われる同展の書籍版(まぁ、これ読むと展覧会も行ってみたくなるよな。。。)

文化庁 『発掘された日本列島 2018 新発見考古速報』 共同通信社。2018

前半は最近の考古学での発見で注目を集めている17遺跡の紹介。

旧石器時代~古墳時代では、昭和31年の最初の発掘で無土器化かどうかで考古学での論争を巻き起こした新潟県の本之木遺跡の再発掘の成果や、千葉県と愛知県の貝塚にみる当時の文化、群馬県で発掘調査された噴火により当時の状況がそのまま閉じ込められたような金井東裏遺跡などが取り上げられる。

古代では、続日本紀に名前が出ていたが所在がわからなかった由義寺跡の発見・発掘や、希少な大陸性青磁の壺が出土した四日市遺跡などが取り上げられる。

後半は装飾古墳が特集として取り上げられている。
特に今回焦点があたったのが、その保存をどうするか。発掘により保存状態が悪化するだけでなく、東日本大震災や熊本地震により貴重な史跡が被災し、保存状態が一気に悪化した。現在でもなお様々な危険性から史跡への直接の立ち入りが難しい場所もあるが、できる限りの保存・修復が進められている。
写真に見る被災前や発掘後のこれらの装飾古墳の美しさ・神秘性は、人間の文化の発祥を考えるきっかけとなる。

7/22までは江戸東京博物館で開催中のようです。。行きそう。
https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/s-exhibition/project/21417/%E7%99%BA%E6%8E%98%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%88%97%E5%B3%B62018%E3%80%80%E6%96%B0%E7%99%BA%E8%A6%8B%E8%80%83%E5%8F%A4%E9%80%9F%E5%A0%B1/

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6月に読んだ本(6冊)

6月に読んだ本から6冊。ジャンルいろいろ。

桶谷功 『戦略インサイト 新しい市場を切り拓く最強のマーケティング』 ダイヤモンド社。2018

人々が気づいていない潜在的ニーズ=インサイトをどう捉え、どうマーケティングに利用するかを、フレームワークを用いて誰でもできるように説明する。
 
藤沢 周平『決闘の辻 藤沢版新剣客伝』。講談社文庫。2006

斬り合いを1つの縦軸に、宮本武蔵、神子上典膳、柳生宗矩などの斬り合いを書く短編集。
武蔵の老いてなお泥臭く斬り合いに向かう姿がよい。

服部正也『ルワンダ中央銀行総裁日記』。中公新書。2009

1960年代半ば、日本からアフリカの小国ルワンダへかの国の中央銀行総裁として赴任した著者が行った経済改革。
財政のバランスを保ち、通貨切り上げを行いながらも、著者の視点はルワンダ国民の生活から乖離することはない。

井上達夫『リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください 井上達夫の法哲学入門』。毎日新聞出版社。2015

安部政権にみられる政治の右旋回の背景には何があるか。
欺瞞的な”リベラル”への反感があり、リベラリズムに本来あるべきはずの「正義」が見られないためにリベラルへの反感がある。
右でもなく欺瞞的なリベラルでもなく、きちんと正義について本来の哲学・法哲学的に考えていくことの重要性を示す。

松林薫『「ポスト真実」時代のネットニュースの読み方』。晶文社。2017

ポスト真実時代は、ジャーナリズムが自浄能力の欠如と人々の情報リテラシーの欠如から生まれるのかもしれない。
そんな時代の中で、どうネット情報を読み取り、自分の頭で考えるのかを示す。

河岸 宏和『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます』。東洋経済新報社。2014

外食産業がコスト重視の中で削減するのは人件費や材料費。そのためにどういった手法がとられ、食べる人にとってどういう危険があるかを示す。

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『ふしぎな県境』(中公新書)

テレビ番組でみたなーという話が多い気もしましたが(まあ、テーマが同じだし)、この本がすごいのはカラー版ということ。
カラーなだけで、臨場感が倍増。。。してる気も。

西村 まさゆき 『カラー版 ふしぎな県境 歩ける、またげる、愉しめる』 中公新書。2018


タイトルどおり、県境を訪れ、そこをカラー写真+図解(まあ、ここからこっちが○県、反対側が×県というのをわかりやすく図示程度ですが)で説明する。
それだけといえばそれだけだが、著者が書いているように単純に2つ(以上の)県をまたぐという面白さだけでなく、なぜそこに県境があるかを考えるとき、過去と未来をまたいでいるのかもしれない。
そんな、なぜ、ここが県境に、という話もいくつか知ることができる(その例が6章)。

また、県境にすむ日常と、県境の移動が地味に行われているという事実(町田-相模原)も面白く読める。

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『いいビルの世界 東京ハンサムイースト』(大福書林)

『いいビルの写真集 west』(http://honnohon.blog137.fc2.com/blog-entry-1432.html)の東京東半分版。

東京ビルさんぽ 『いいビルの世界 東京ハンサムイースト』 大福書林。2017

東京にもステキなビルがあるという。ということで書かれたお待ちかね?の写真集。

地域別に紹介されたり、テーマ別に紹介されるビルの数、500。すごい。。
1950年代~1970年代のビルが紹介されるが、中には再開発に入ってしまったものも。

個人的には79~85ページにかけて、延々と取り上げられるタイル(釉薬)のパートが一番楽しい。
ビルといえばタイル!であって欲しいが、バブル期に流行りだしたガラスのビルが。。。
でも、ガラスのビル、空調効率や清掃必要性から考えると、持続可能なのかと思ったり。このあたりは、日本の建物が壊されるまでの周期というところにも関係しているのかなぁ。。。

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tag : いいビルの世界 東京ハンサムイースト

『生物模倣』(作品社)

先月読んだ『動物たちのすごいワザを物理で解く』(http://honnohon.blog137.fc2.com/blog-entry-1992.html)では、動物たちのもつ様々な能力が物理的に説明されていた。
本書は、そんな動物たちのもつ能力が、人間に模倣されて技術的に使用されている現場を追う。

アミーナ・カーン 『生物模倣 自然界に学ぶイノベーションの現場から』 作品社。2018


生物に着想を得たデザインー「生物模倣(バイオミミクリー)」は、1990年代後半に広まったアイデアであるが、単に模倣しただけではかえって見当違いの結果や非効率を生むにすぎない。
物理学、生物学、工学といった分野の壁を越えて、生物模倣(バイオミミクリー)がどう研究され、どう実現化にむかっているか様々な事例を集め、その素晴らしさや限界、現在到達しているところを書くのが本書。

第1部 材料科学
ここでは、以下2つの事例を中心に、生物の能力を材料として使用できないかという研究が紹介される。

・光学迷彩は、兵士の着用する迷彩服において重要な役割をもっているにも関わらず、高額な研究費に対して成果が乏しい。
ここに、コウイカのもつ環境に応じた自らの体の色(やパターン)を変える能力を応用できないか。

・ナマコは通常は非常に柔らかいが、外敵に襲われた際に急激に体を硬くすることができる。この能力は、人間がおなじみの「骨」ではなく、原繊維(皮膚の下のコラーゲンの繊維)を構造的に結びつけることによるが、これを人間の体内に異物を埋め込む際に利用できないか。


第2部 運動の仕組み
運動という側面から、ロボットにおける「脚」の役割を車輪・人間の二足歩行・四足など多脚・ヘビのような移動からそれぞれの研究が示される。
また、飛ぶ-鳥の羽、泳ぐ-鯨のヒレなどにみられる、乱れを利用する構造が、人間の考えたきた効率性にない側面を示していることが書かれる。

第3部 システムの基礎構造
ここでは前の2部とは少し異なり、生物単体ではなく、生物が群れて作っている巣(シロアリの巣)が建築物のエネルギーの効率利用に役立たないかということや、粘菌や虫に見られる集団としての知について書かれる。
面白いのは、2部のように乱れを利用する側面や、完全な正解ではないがだいたいokという答えで動くという面が生物にあるというところ。

第4部 持続可能性
ここではさらに、エネルギーの創造における植物の能力(葉がクリーンで再生可能なエネルギーを作り出す)や、都市全体への応用についての研究が書かれる。

個人的には。。。ちょこちょこと『銀河ヒッチハイクガイド』ネタが書かれているのがツボでした。

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『電話交換手はなぜ「女の仕事」になったのか』(ミネルヴァ書房)


石井香江 『電話交換手はなぜ「女の仕事」になったのか 技術とジェンダーの日独比較社会』ミネルヴァ書房。2018

近現代、女性が労働力として社会的に受け入れられていく中で、ジェンダーによる仕事の棲み分けが発生した。
その一例として、「電話交換手」(主に女性の仕事)と「電信技手」(主に男性の仕事)への分化を、日本とドイツを例に比較検証していく。

電話交換手が「女性の仕事」とされる中で、女性にのみ求められた部分の考察(貞操、良妻賢母観との兼ね合い)や、仕事の棲み分けが異なる性を排除するものであったかなどを検証する。

確かにこういう面は技術史にも、あるいは通常の歴史にも出てこない問題であり、研究者がきちんと焦点をあてることによって初めて浮き彫りになるものだと思いながら終章を読んだ。

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『ブッククラブと民族主義』(九州大学出版会)

ドイツにあったブッククラブという会員制の書籍廉売販売組織について、その歴史や意義をまとめた学術書。

竹岡健一 『ブッククラブと民族主義 』 九州大学出版会。2017

1920年代から80年代にかけ、ドイツでは会員制の「ブッククラブ」を呼ばれる書籍の販売組織が発展した。
著者は、そのブッククラブについて調べる中で、民主主義の下支えとしての役割やナチズムとの関わりに関心を持ち、その歴史と役割を検証する。

会員制とし販売する本を限定することで安く広く良質の書籍を広める役割を担ったブッククラブと、既存の出版・書籍販売のルートとの軋轢も興味深いが、やはり焦点はどのようにナチス政権化に利用されたかにあるように感じる。

ナチス政権化に利用されたという一方向的な流れでなく、いくつかのブッククラブが、基盤とする都市の一定階層が直面している経済的問題などに対し、民族主義的な色調を強めその手段としてナチスを利用しようとした(が逆に呑み込まれていった)流れも書かれていて、興味深い。

ドイツにあった52のブッククラブについて幅広く調査し、その特徴をまとめた余論は、今後の研究者に役立つと思われる(が、僕のような一般読者はすごいなぁ。。。で終わってしまうのがもったいないかも)

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『ハンス・ヨナスを読む』(堀之内出版)

まだ十分読みきれていませんが、あまり知られていない哲学者、ハンス・ヨナスの入門書。
責任、それも未来への責任をどう考えるか。

戸谷 洋志 『ハンス・ヨナスを読む』 堀之内出版。2018


第2章 テクノロジーについて
・前近代的な技術(手仕事に使う道具など)は穏やかな技術であったが、近代的なテクノロジーは、絶えず進化をし続ける。そこに目的はない。新しい技術が新しい目的を提起し、その目的のために新しい技術を生み出し。。と進歩の自動性を前提としている

・進歩の自動性の前提は、テクノロジーと科学を分離不可能に考えるところから生まれる。科学との結びつきが応用の場としてのテクノロジーを求め、ここでも無限の円環が生じ、科学やテクノロジー自体への価値判断を妨げる(没価値のものとする)

・科学は客観性と没価値が結びつき、テクノロジーでは有用性と没価値が結びつく。テクノロジーの進歩の先が問いかけられることはなく(なぜなら進歩それ自体が役に立つということで決定され、そこには善悪の価値判断はない)、そこに人間自体の没価値(人間さえも有用でないなら存在する意味がなく、そもそもそういったことを価値判断として考えることもない)が生じている

・未来の他者は現在存在しない。未来の他者とは議論による合意(民主主義の基礎)もできない。そのとき、未来への責任をどう考えなくてはいけないか、がヨナスの未来倫理の根本にある問題意識


第3章 生命について
・生物学は分析を方法とするが、その方法での理解は生命を死んだものとして捉えるに過ぎない。生命を生命として理解できないという問題点を抱えている

・生命を生命としえ捉えるには、有機体と精神を統合して捉えることが必要。ヨナスは、私たち自身が生命であり肉体として存在していることに着目し、現象学的に生命を記述しようとする。生命の場合、質量(物質)に依存するがその同一性は必要とはしない。代謝により常にかわる質量に対し、代謝によって保たれる「自己」という主体がある。その自己は代謝によって空間的・時間的に構成される世界がなければ存在できない

・生命の進化は困窮する自己が、自由を増大させ同時に死の可能性を増大させる中、自己意識を先鋭化させていくことでもある。その最先端に人間が存在する


第4章 人間について
・ヨナスは人間の条件を「像を作る」ことに置く。像を書くそれ自体は無益であり、生存に必要ない行為である。そして、これこそが人間と動物をわける有用性からの自由である

・像を描くには、像と対象の区別ができることが必要-現実にとらわれないことができることが必要であり、かつ事物の再創造でもある

・像を描くことは、その行為に伴う自分の振る舞いと心の状態=「私」という存在を構成することでもある

・人間像を描く自由は、存在との自由な出会いが必要であり、その自由が展開される場が歴史である。そこに無限に多様な可能性が開かれる。

・・うーん、この辺で少し理解が追いつかなくなってきているので、後半はもう少し読みこんでから(書くのだろうか?)

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『図解 自分を操る超集中力』(かんき出版)

1日に本を20冊読むという、メンタリストDaiGoによる、集中力を身に付けるための具体的な方法について書かれた本。

メンタリストDaiGo 『図解 自分を操る超集中力』かんき出版。2017

2016年の『自分を操る超集中力』の図解ムック版。わかりやすさ倍増。

集中力を高めるためには、まず集中力について知ること
・ウィルパワー=「思考や感情をコントロールする力」を上手に使う。そのためには、集中力を使うと消耗し、かつ出どころは1つという特徴を踏まえる必要がある→行動の習慣化でウィルパワーを節約

・集中力は持続しない。時間に制限があり、その中で何をやるかを意識するほうが集中が増す。

・脳の疲労感は単なる思い込み。暗示により脳が疲れたと思うレベルを引き上げる。そのためには、集中力を保てたと思う時間の記録も有効

集中力を生み出すエンジンとしては
場所を片付け色(水色)をうまく使い、正しい姿勢を保ち、短時間ごとに立ち上がり、低GI食品(ナッツ)やカフェインも取りいれて、喜怒哀楽の感情を仕事へつなげながら、意思決定を習慣化で減らし、運動や、瞑想を生活に取り入れる。

疲れのリセットは、睡眠・感覚(眼を温めたり眼の運動、香りの取り入れ)・不安の書き出しによるワーキングメモリーの解放、という方法がある。

時間術としては
・超早起きと早起き後のモチベーションアップ、その日の計画を10分で立てるなど
・ポモドーロ・テクニック
・ウルトラディアンリズム-90分の間は同じ目標。90分の作業と20分の休憩のリズム
・アイビー・リー・メソッド-翌日行う6つのことと優先順位付け、1つの作業が終わるまでは次をやらない
・スケジュールの余白

本書で紹介されているポモドーロ・テクニック(25分集中&5分休憩のくり返し)。実際に仕事で1週間行ってよいと感じました。ただ、問い合わせとかが急に入ってくるとリズムが崩れるなぁという面も。

元はこちら

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tag : 図解 自分を操る超集中力

5月に読んだ本(3冊)

5月に読んだ本から3冊。

曽村保信 『地政学入門』 中公新書。2017(改版)

現代地政学の開祖や各国地政学の基礎を作ったマッキンダー、ハウスホーファー、マハンらの考えを説明する入門書。

森山徹 『モノに心はあるのか 動物行動学から考える「世界の仕組み」』 新潮選書。2017

ダンゴムシやオオグソクムシの話ではなく、どちらかというと哲学よりの論が書かれるので、今までの本とは側面が変わるという感じ。

プロジェクトマネジメントのシステム監査研究会 『発注者のプロジェクトマネジメントと監査 システム開発トラブル未然防止の神髄に迫る』 同文舘出版。2018

発注者側かつ監査的な側面からのプロジェクト管理。さらっと読んでしまったので、今眼前に控えたプロジェクトを前にきちんともう一度読まなくては。

編著

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『日本神判史』(中公新書)

神が判断を下すことが重要ではなく、共同体の維持こそが目的という見解が興味深い。

清水克行 『日本神判史』。中公新書(2058)。2010

日本において、人々の争いを神に判じてもらうことは、室町時代の100年間に集中的に表れる湯起請(ゆぎしょう)と、戦国時代~江戸初期の数十年における鉄火裁判という現象に見られる。

しかし、なぜこれらの神判はその時代にだけ集中的に見られ、そして急速に姿を消したかはあまり研究されてこなかった。

著者は、それぞれの事例を古文書などから集め、その激しさ・過激さの裏にある、社会における役割について考察する。

一つには、共同体内における問題を、ある意味円滑に解決するための役割があった。
また、一つには疑いをかけられた(そして実際に怪しい)人物が、起死回生の手段として使用することがあった。
あるいは、政治のトップに立つものが、自らの専制の正当性のために使用した。
こういった室町時代の湯起請は、人々の神事への不信や、文書による正当性の拡大などにより急速に廃れていったと考えられる。

では、なぜ戦国時代に、より過激とも言える鉄火裁判が増えたのか。
ここには地域紛争の調停のための役割があったと考えられる。

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『アウシュヴィッツを志願した男』(講談社)

祖国ポーランドのために、自らアウシュビッツにもぐりこみ諜報活動を行った本書の主人公、ヴィトルト・ピレツキ。
彼は、祖国のために戦い、そして祖国に殺されるという数奇な運命をたどる。
彼の人生を書きながら、第二次大戦前後のポーランド情勢を示す本。

小林公二 『アウシュヴィッツを志願した男 ポーランド軍大尉ヴィトルト・ピレツキは三度死ぬ』。講談社。2015

ポーランドは強国であるソ連とドイツに挟まれ、それぞれの国からの侵略に翻弄された。
そして、そのポーランドが受けた悲劇は、本書の主人公であるヴィトルト・ピレツキの激動の人生を生んだ。

地方の地主である父親を持つピレツキは、芸術的な才能も持ち、同時に馬術を始めとした軍人としての能力にも長けていた。
そんな彼は、第二次世界大戦の勃発とともに、祖国ポーランドを護るために、反ナチ組織である武装地下組織で時に直接的に、時に諜報戦などで活躍する。

そんな彼が名乗りを上げたのは、生きて帰れるかもわからない、アウシュビッツへの潜入である。
彼はアウシュビッツにもぐりこみ、地下組織を結成しつつ、アウシュビッツの状況を外部へ何度も報告をする。
そして、3年近く潜入した後に、戦局の変化と自らへナチの手が近づいていることを察し、アウシュビッツから脱走を行った。

アウシュビッツから脱走した彼は、本来英雄となってもおかしくなかったが、そんな彼を待ち受けているのは、ソ連の傀儡政権下に入った祖国ポーランドであった。。。

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『ファクトチェックとは何か』 (岩波ブックレット)

よく耳にするようになった「ファクトチェック』と言う言葉。
その言葉が重要となった社会的な背景(フェイクニュースに代表される、真実かどうかわからない情報の氾濫)を踏まえ、どのように実践していくかまで触れる。

立岩陽一郎、揚井人文 『ファクトチェックとは何か』  岩波ブックレット。2018

少ないページ数に多い情報が入っている岩波ブックレットの新刊。
著者はファクトチェックを行う団体やサイトで実際にファクトチェックに取り組んでおり、どのように行うかについても書かれている。

・「ファクトチェック」とは「言説の内容が事実に基づいているかどうか、正確なのかどうかを調べて、その結果を発表すること」。既に公表された言説の内容が正確化を第三者が事後的に調査し検証した結果を発表する営みである。

・フェイクニュースの拡大に伴い注目された概念であるが、重要なのは発信者の主観ではなく、発言のなかで事実として挙げられたことの真偽を検証する
-発言に含まれる客観的に検証可能な事実を対象とする
-根拠の調査(情報の出所、統計などは政府機関への確認と相手の確認、)
-評価(参加者による事前の基準での評価付け)
-記事化
の流れで行われるものである。

・ファクトチェックの原則は、非党派性・公正性/情報源の透明性/財源と組織の透明性/方法論の透明性/訂正の公開性
-これらにつき様々な団体がどのように判定方法を工夫しているかなどの詳細も書かれている

・国際的なファクトチェックの流れ(各国・各地域の主要な団体などの紹介)

著者の関わる日本のファクトチェックサイト GoHoo( http://gohoo.org/

テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

tag : ファクトチェックとは何か

『動物たちのすごいワザを物理で解く』(インターシフト)

動物達のもつ様々な能力を、熱、力、流体など6つのテーマにまとめ、物理的に解説する。

マティン・ドラーニ、 リズ・カローガー
『動物たちのすごいワザを物理で解く 花の電場をとらえるハチから、しっぽが秘密兵器のリスまで』。インターシフト。2018


例えば最初の「熱」をテーマとする1章では、レッドサイドガーターヘビの繁殖行動における一部のオスの不思議な行動。。。メスに成りすまして他のオスを引き寄せる行動を、伝導を利用して他のオスから熱を奪うための行動だと分析していく。
それ以外にも「熱」をテーマに

・熱を対外から排出するため、せっかく吸った血の一部をすぐに排出してしまう蚊
・犬がいかにずぶ濡れで熱を奪われるのを防ぐために、効率的に水を体をふるって取り除いているかの実験
・ニホンミツバチが、わずかな熱耐性の差を武器に、自分達より大きいニホンオオスズメバチを殺すか(オオスズメバチを集団で取り囲み熱を上げる)
・カリフォルニアジリスが尻尾に熱を集めることで、ガラガラヘビの熱感知装置を混乱させる方法

など、動物の不思議さが物理的に明確にされていく。

個人的に面白かったのは「力」の章で、

・蚊が(蚊のからだからするとかなり大きい)雨粒でやられないわけ-上手に力に乗って逃す
・モンハナシャコが非常に大きな力を出す秘密-補脚の加速を蓄えたエネルギーを急速に解放する体の仕組みで実現+伽ぴテーションの利用+力に耐えうる体の構造
など、力の不思議さを上手に利用している動物たちの戦術がわかる。

物理で解くといっても、数式などを使うわけではなく、動物の例をうまく使ってわかりやすく書かれているのも読みやすい。

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『医者が教える食事術 最強の教科書』(ダイヤモンド社)

食事に関しては、いろいろな理論があるので、これもその1つとして。
医師として数多くの臨床経験から導いたのは、重要なのは「血糖値」をいかにコントロールするかであり、糖質中毒を避けるための食事について解説する。

牧田善二『医者が教える食事術 最強の教科書 20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68』。ダイヤモンド社。2017


・身体の不調の原因は「糖質」の摂り過ぎであり、現代は(産業的な思惑もあり)糖質が多い食品が出回り摂取されている
・縄文人が食べていた(と思われる)ものを食べることが、身体の本来から考えるとよい-野菜、大豆の植物性タンパク質

著者が述べる新しい常識は
1.糖質(炭水化物)が太る唯一の原因
2.カロリーと肥満は関係ない(肥満は血糖値が上がることでのみ起きる)
3.脂肪は食べても太らない(食べても便に出て体内には残りにくい)
4.コレステロール値は食事ではほとんど変わらない
5.プロテインなどの人工的な大量のタンパク質摂取は腎臓を壊す
6.同じ量ならちょこちょこ食べるほうが太らない
7.果物は太る
8.疲れたときの甘いものは返って疲れをおこし逆効果
9.発がん性を疑われているものは食べるな
10.運動は食後すぐに

また、体に良い食べ物として以下10を挙げる。
オリーブオイル、ナッツ、ワイン、チョコレート、大豆、チーズ、ブルーベリー、コーヒー、酢、生もの

その上で、食事術としては糖質量を制限し、海草やキノコあるいは前述の食材などをどのように食事に取り入れるかを書く。

また、長生きのためのルールとしては、
豆類をたくさん食べる/野菜を多量多種類で/坂道を歩く/死ぬまで働く/生きがいをもつ/健康チェック/食べ過ぎない/適度なアルコール/チョコ/医者を選ぶ
を挙げる。

テーマ : 読んだ本
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tag : 医者が教える食事術 最強の教科書

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