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『あなたの人生の物語』(ハヤカワ文庫)

テッド・チャン『あなたの人生の物語』。ハヤカワ文庫。2003

文字、言葉、あるいはもっと抽象的な思考、思考を形作るための枠組み。。
そういったものを俯瞰し、相対化することで起きることはなんであろうか。
このSF短編集は、そんなことを考えさせる短編集が多い。

「バビロンの塔」
神に近づくために人々が建て、上へ上へと伸ばされてきた塔は、ついに天蓋に届き、天蓋を穿ちさらに高みを目指すべく鉱山職人が塔の頂上を目指す。天蓋を穿ち、そこに現れる景色は。。

「理解」
とある薬により、常人をはるかに超える知性をもった主人公。そんな彼の前に現れたのは同様の薬によって同じ力を授けられた他人。

「ゼロで割る」
自分の行ってきた学問がすべて無意味となるような発見をしてしまった学者の頭に起こることは。。

「あなたの人生の物語」
異星人の襲来。しかし、彼らの目的は不明。
彼らの言葉を明らかにすべく集められた言語学者は、異星人の言葉と驚異的な文字体系を知ることで、新しい理解を得ていく

「七十二文字」
人類が滅亡に向かっている中で、言葉により何がができるのか。オートマトン職人はあることを思いつく。

「人類科学の進化」
ごくごく短編。

「地獄とは神の不在なり」
私たちは因果応報ではないものに、因果応報を見ようとしているのかもしれない。

「顔の美醜について」
ドキュメンタリー形式をとった、顔の美醜判定をできないようにする手術についての物語。

テーマ : オススメの本の紹介
ジャンル : 本・雑誌

tag : あなたの人生の物語

『物語創世』(早川書房)

物語はどう作られ、そしてどう人類に影響を与えてきたか。。。

マーティン・プフナー『物語創世 聖書から〈ハリー・ポッター〉まで、文学の偉大なる力』。早川書房。2019

物語の歴史、あるいは物語が創ってきた歴史。
人々の生活の中で様々な物語が文字化され、文字化された物語は人々の生活に影響を与える。
物語というくくりを、文字で書かれたものすべてと考えた時、含まれるものは急拡大し、その影響は計り知れない。
本書で取り上げられるのは様々な”物語”。

アレクサンドロスが遠征の枕元に置いたのはホメロスの『イリアス』であり、アレクサンドロスの行動は物語に影響され、それを体現しようというものだったのかもしれない。
聖書や東西様々な賢人の教え(仏教、儒教、キリスト教、あるいはソクラテス)は文字化され、人々の行動への影響と切り離して考えることはできない。

日本においては、『源氏物語』が取り上げられ、当時の文化の記録・伝達だけでなく、宮廷マナーとしての使われ方も指摘される。

南米やアフリカなどで口承されてきた物語が文字化される背景に、地域の歴史があり、歴史の中で物語がどう使われたか(それぞれの時代における政治や社会が強調したいものの反映・強化)が描かれ、印刷技術が宗教に与えた影響、ソヴィエト国家における文学など世界中の様々な物語が取り上げられる。

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ジャンル : 本・雑誌

tag : 物語創世

7月に読んだ本(4冊)

河野英太郎『本当は大切なのに誰も教えてくれな VUCA時代の仕事のキホン』。PHP出版。2019

Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguityな今にあっても、仕事の本質は変わっていない。しかし、その形式が大きく変わった。その中で小さな工夫を積み重ね、限られた時間での成果・答えのない問いへの答え・多様なメンバーをまとめる・持続可能な働き方をする、ための方法を説く。

ドネラ・H・メドウズ『世界はシステムで動く いま起きていることの本質をつかむ考え方』。英治出版。2015

世界をシステム思考(フィードバックなどを使いながら維持・崩壊するループが複数・多階層的に組み合わさる動きを伴う組織的な働き、とでもいえばいいのかなぁ。。)の枠組みで捉えるための考え方。そのとらえ方により、システム自体の維持や介入点が見えてくる

松本健太郎 『デジタル記号論 「視覚に従属する触覚」がひきよせるリアリティ』。新曜社。2019

著者の論文集。メディアとは、あるいはメディアと私たちの相互関係(身体を通した、など)についての論文がまとめられる

アーシュラ・K. ル=グウィン『コンパス・ローズ』。ちくま文庫。2013

短編集。面白いと思ったものもあれば、よくわからない(SFでもなく、小説というには断片的というかまとまりがなく)ものも多くあったり。。。短編集というより、著者の構想を詩的に表現したような印象。
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『問い続ける力』(ちくま新書)

石川 善樹 『問い続ける力』 。ちくま新書。2019


honnohon

石川善樹『問い続ける力』。ちくま新書。2019
「〜では」(こうだ、こう言っている)ではなく、「〜とは何か」を自問し続けることができる人。
考えない「では」派から、自分の直感や思考を突き詰めていく「とは」派になるべく、著者は自分の中の問いの種を育てるために問い、人と会う。
07-11 07:18

「問い続ける力」を邪魔するのは変化=恐怖と感じる大脳辺縁系。
これに対し、あらたな習慣(きっかけー行動ー報酬のループ)を作るためには、報酬を小さくすることから始める。小さな報酬は、時期に応じて内的・外敵を使い分ける(内的→外的→内的)ことでパフォーマンスを高められる。
07-11 07:18

小さな問いに対し小さな改善を行い続ける中で、内的→外的な基準が重視されるが、次第に小さな改善が行き詰まる限界が訪れる。
その時、他分野から学び大局的に振り返ることで本質の再発見につながる。その再発見は内的な動機に向きあうきっかけでもある(おわりに)。
07-11 07:18

では、「問い」とは何か。
著者は、基本原理から考えること、例外から学ぶこと(なぜ他がうまくいってないのにこのケースはうまくいってるのか)、howではなくwhat(とは何か)から問い始める、などを問いの本質として述べる(第一部)
07-11 07:18

第二部は、著者が刺激を受けてきた様々な人との対話。
市井の数学者、長沼伸一郎(『物理数学の直観的方法』など)
立命館アジア太平洋大学学長でありライフネット創業者でもある出口治明(『人類5000年史』他)
ボストンコンサルティンググループの御立尚資
07-11 07:18

一橋大学名誉教授、寺西重郎(『歴史としての大衆消費社会』他)
元ハーバードビジネスレビュー編集長、岩佐文夫
元WIRED編集長、若林恵
AV監督、二村ヒトシ
料理人、松嶋啓介
北海道大学教授、松王政浩(『科学と証拠』など)
07-11 07:18

『鐘の本』(八坂書店)

パウル・ザルトーリ『鐘の本 ヨーロッパの音と祈りの民俗誌』八坂書店 2019

1932年に書かれた本書は、第一次世界大戦下において行われたドイツの鐘の供出に対し、地方の民俗学者など研究者によりまとめられた(供出された)鐘にまつわる話をもとに、ドイツ語圏の鐘にまつわる文化を広く著したものである。
翌年にはヒトラー政権が誕生し、その後第二次世界大戦ではさらに鐘が供出されたことを考慮すると、なんとも言えないタイミングで書かれた本でもある。

取り上げられる鐘についての考察は、
・鐘の材質や奉納・名づけにおける人々との関わり
・鐘の持つと考えられた魔除けや豊穣の性質
・教会と鐘の関わり(教会活動とともに鳴らされる種々の鐘)
・生活と鐘の関わり(誕生や葬送のための鐘、警鐘として使われる時)
・人々が鐘の音色をどうとらえたか(聞きなしや、慣用句の中の鐘の使われ方)

などを幅広く、また個々の具体例を示しながら書く。

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tag : 鐘の本』

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読んだ本からオススメの本を、半分備忘録的に記録します~

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